甲状腺機能低下症の症状って沢山あって覚えられない。
どう覚えればいいの~???
こういった悩みを解決します。
本記事では、
- 甲状腺機能低下症の症状の覚え方・ゴロ
- 弛緩相の遅延・mounding現象とは?
- 甲状腺機能低下症で貧血になる理由・機序
- 甲状腺機能低下症で高プロラクチン血症になる理由・機序
の4章立てで解説します。
考え方をマスターしてサクッと症状を覚えちゃおう!
甲状腺機能低下症の症状の覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
まず、覚えるべき知識は
「甲状腺ホルモンは全身の細胞・臓器の代謝を促進し、ムコ多糖を分解する作用がある」
ということです。
ムコ多糖とは?
粘液:mucusから得られた多糖の総称で、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などが含まれる。
粘液状の物質で、水分を保持する性質がある。
ムコ多糖(粘液)が沈着・蓄積し、水分が保持され、浮腫が起こる現象を『粘液水腫』という。
例)ムコ多糖が心臓に沈着することを「粘液水腫心」という。
例)甲状腺機能低下症の背景+ストレスで起こる昏睡を「粘液水腫性昏睡」という。
つまり、甲状腺機能低下症の甲状腺ホルモン欠乏時には、
①代謝が低下 → ②ムコ多糖が沈着 の順で覚えると見通しが良いです。
①代謝が低下
- 肝臓・筋の熱生産が低下すると体温低下・寒がり
- コレステロールの代謝・分解が出来ず高コレステロール血症
- 心筋の代謝が低下すると徐脈・低血圧
- 消化管活動が低下すると食欲低下・硬便・便秘
- 汗腺の代謝が低下すると発汗低下・皮膚乾燥
- 毛根の代謝が低下すると脱毛
- 神経の代謝が低下すると認知症症状(treatable dementia)・傾眠傾向・抑うつ
脱毛は眉毛の外側3分の1に優位にみられる。
treatable dementiaとは?
treatable dementiaとは早期治療によって回復が見込める認知症のこと。
国試的には
神経の範囲
- 慢性硬膜下血腫
- 正常圧水頭症
- 神経梅毒
内分泌代謝の範囲
- 甲状腺機能低下症
- 橋本脳症
- ビタミンB1欠乏(Wernicke脳症)
- ビタミンB3欠乏(ペラグラ)
免疫・膠原病の範囲
- 神経ベーチェット
- SLE
が重要です。
4大認知症(アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・脳血管性認知症・前頭側頭型認知症)は、
treatable dementiaではないので注意しましょう。
②ムコ多糖が沈着
ムコ多糖が
- 全身に沈着すると体重増加・非圧痕性浮腫(non-pitting edema)
- 関節に沈着すると関節痛
- 心臓に沈着すると粘液水腫心(心音減弱・心拍出量低下・心拡大)
- 舌に沈着すると巨大舌
- 筋に沈着し、筋が破壊されるとCK上昇
- 声帯に沈着すると嗄声
が起こります。
腱反射減弱「弛緩相の遅延」・mounding現象とは?
医師国家試験【110A21】で出題された甲状腺機能低下症の患者の症候として、
- ①腱反射は打腱後の筋弛緩遅延(腱反射減弱)がみられた。
- ②大腿四頭筋を叩打すると筋腹の膨隆が生じる(mounding現象)。
の2つがあります。
解説と動画で確認していておこう!
腱反射減弱「弛緩相の遅延」の解説と動画
腱反射は
- ①筋が収縮する「収縮相」
- ②筋が弛緩する「弛緩相」
の順番で起こります。
この時、①筋の収縮は正常に起こるが、②筋の弛緩が通常よりゆっくり起こることを「弛緩相の遅延」と言います。
①~0:08:健常人のアキレス腱反射
②0:08~:甲状腺機能低下症のアキレス腱反射
筋の弛緩が通常よりゆっくりになってるね!
【試験で聞かれない】腱反射減弱「弛緩相の遅延」が見られる理由・機序
通常の筋収縮は細胞内に放出されたカルシウムイオンによって起こり、
そのカルシウムイオンがすぐに筋小胞体に再吸収(再貯蓄)されることで筋収縮が終わる(弛緩する)。
しかし、甲状腺機能低下症では筋小胞体の代謝が低下し、
カルシウムイオンの再吸収スピードが低下するため、弛緩相が延長する。
この後説明するmounding現象もカルシウムイオンや筋小胞体が関わっているようだが、明確な原因・機序は不明。
mounding現象の解説と動画
mounding現象とは「筋腹を叩打すると小さな膨隆が生じる現象」です。
野球のマウンドのように、
山(Mountain)みたいに盛り上がってる部分をマウンドという。
mounding現象=盛り上がる感じ と分かるね。
ニョキっと出てくる!
甲状腺機能低下症で貧血になる理由・機序
甲状腺機能低下では、全身の代謝が低下します。
代謝が低下すると、末梢組織の酸素需要が低下します。
酸素需要が低下すると、血中の酸素濃度は高く保たれるため、腎臓のエリスロポエチンの産生が抑制されます。
血中のエリスロポエチン濃度が低下すると、骨髄における赤血球生産が低下します。
したがって、貧血になります。
結局、「甲状腺機能低下→骨髄でも代謝低下→貧血」って考えればOK
甲状腺機能低下症で高プロラクチン血症になる理由・機序
- ①甲状腺ホルモン(T3・T4)が低下
- ②フィードバックでTRHが上昇
- ③TRHはTSH分泌を促進する他にPRLプロラクチン分泌も促進する
- ④プロラクチンが上昇する
例外的に、甲状腺機能低下+低プロラクチン血症になる疾患として
「Sheehan症候群」があるね!
そもそも前葉が壊死してて、プロラクチン分泌ができないんだ!
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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