CBT・国家試験で頻出の
「がん遺伝子・がん抑制遺伝子」ってどう覚えればいいの~???
どこがポイントなのか教えて欲しい(>_<)
こういった悩みを解決します。
本記事では「がん遺伝子・がん抑制遺伝子」の議論に終止符を打ちます。
- 「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」の見分け方(CBT・国試向け)
- 遺伝子と疾患の組み合わせ(国試向け)
を完ぺきにマスターできるようになります。
長くなりますが、順番に見ていきましょう。
CBT・国家試験に出てきた遺伝子を網羅したよ。
大船に乗ったつもりで頑張ろう(*’▽’)
※注意点
大文字・小文字の数で判断するというテクニックがありました。
しかし、残念ながら大文字か小文字かは決まっているわけではなく、
試験(出題者)によって変わります。
大切なのは、「疾患と結び付けながら、がん遺伝子なのか?がん抑制遺伝子なのか?の区別がつくこと」です。
がん遺伝子・がん抑制遺伝子の覚え方・ゴロ【 遺伝子 一覧 】
がん遺伝子・がん抑制遺伝子を覚えるには
- ①:がん抑制遺伝子を覚える + 同時に疾患を結び付ける
- ②:①で覚えた遺伝子以外はがん遺伝子と考える
- ③:がん遺伝子と疾患を結び付ける
の順に進むと見通しが良いです。
↓これを完ぺきに覚えます。(最後に確認するから、今はサラっとでOK(*’▽’))
がん遺伝子 | 覚えておく疾患 |
---|---|
SRC | 無し |
K-ras(KRAS) | 大腸癌・膵癌 |
Bcr-Abl | 一部のALL(急性リンパ性白血病) CML(慢性骨髄性白血病) |
c-kit | GIST |
HER2 | 乳癌 |
ERBB | 乳癌 |
EGFR | 特に、肺腺癌 |
EML4-ALK | 肺癌 |
N-myc(MYCN) | 神経芽腫 |
C-myc(MYCC) | 無し |
CyclinD | マントル細胞リンパ腫 |
BRAF | 悪性黒色腫 |
RET | (多発性内分泌腫瘍2型) |
BCL-2 | 濾胞性B細胞リンパ腫 |
JAK2 | 骨髄増殖性疾患 |
がん抑制遺伝子 | 覚えるべき疾患 |
---|---|
BRCA | 遺伝性乳癌卵巣癌症候群 |
APC | 家族性大腸腺腫症 =家族性腺腫性ポリポーシス |
WT | Wilms腫瘍(腎芽腫) |
RB | 網膜芽細胞腫 |
MEN | 多発性内分泌腫瘍1型 |
TGFBR | 無し |
PTEN | 無し |
p53(TP53) | 大腸癌 |
p16INK4a | 無し |
VHL | 腎細胞癌・血管芽腫 |
DCC | 大腸癌 |
MMR (mismatch repair) | 遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (Lynch 症候群) |
※先述しましたが、小文字大文字は試験によって変わります。
前提として、
- プロトがん遺伝子(がん原遺伝子)が変異し、がん遺伝子が発現すると癌が発生
- がん抑制遺伝子が不活化すると癌が発生
は覚えておきましょう。
例えば、成長に必要な遺伝子があるとする。
この遺伝子が変異して暴走すると、成長しすぎちゃう。
→増殖しすぎ=癌化
このとき、この遺伝子をプロトがん遺伝子(がん原遺伝子)という。
※遺伝子の不活化は体細胞にしか起こらない。
生殖細胞や幹細胞では見られないことに注意!
(↑テストに出ます。)
理由
不活化は成長の過程でいらなくなった遺伝子のプロモーター領域をメチル化して起こる。
(=エピジェネティックな調節)
つまり、まだ若い細胞である生殖細胞や幹細胞では不活化が起こらないようになっている。
①:がん抑制遺伝子 + 疾患の覚え方・ゴロ
がん抑制遺伝子は
- 共通するルールで覚える
- 理屈で覚える
- ゴロで覚える
の3本立てで、考えましょう。
がん抑制遺伝子に共通するルール
ルール
遺伝子名が疾患名(+病態)の英語の略称
※ただし、1つだけ例外あり(下記で説明します。)
以下の5つを覚えます。
BRCA = breast cancer(遺伝性乳癌卵巣癌症候)
APC = adenomatous polyposis colon cancer(家族性大腸腺腫症=大腸癌)
WT = Wilms tumor(Wilmus腫瘍(腎芽腫))
RB = retinoblastoma(網膜芽細胞腫)
MEN = multiple endocrine neoplasia(多発性内分泌腫瘍1型)
遺伝子を前から読んで疾患名の英語が思い浮かぶのが、
がん抑制遺伝子の共通ルールです。
したがって、
- BRCA
- APC
- WT
- RB
- MEN
はがん抑制遺伝子と分かります。
遺伝子と疾患を見比べて、同時に覚えちゃいましょう!
一石二鳥だね(^^♪
※ 家族性大腸腺腫症(家族性腺腫性ポリポーシス)は30歳代でほぼ大腸癌になってしまう疾患。
※例外について
BCL-2は濾胞性B細胞リンパ腫の原因となるがん遺伝子です。
BCL= B cell lymphoma-2 = 濾胞性B細胞リンパ腫
がん抑制遺伝子を理屈で覚える
CBTでTGFBRが「がん抑制遺伝子」として出題されました。
癌化は慢性炎症によるストレスが蓄積して起こります。
つまり、抗炎症はがん抑制に働くので、下記のように考えられます。
理屈
TGFBR = TGFβreceptor = TGFβレセプター = 抗炎症サイトカイン受容体 = がん抑制に働く
したがって、
- TGFBR
はがん抑制遺伝子と分かります。
いろんな癌で発現しているので、特定の疾患は覚えなくて良いです。
抗炎症サイトカインとして、IL10・IL13・TGF-βの3つは必須知識です。
がん抑制遺伝子をゴロで覚える
ゴロ:ペテン師のPVがドM
ペテン師の → PTEN
P → p53(TP53)・p16(p16INK4a)
Vが → VHL
ド → DCC
M → MMR(mismatch repair)
ルール・理屈で覚え、残りはゴロです。
したがって、
- PTEN
- p53(TP53)
- p16(p16INK4a)
- VHL
- DCC
- MMR(mismatch repair)
はがん抑制遺伝子と分かります。
次に、「これらの遺伝子がどの疾患に関係しているか」を紹介します。
がん抑制遺伝子と疾患
PTEN・p53(TP53)・p16(p16INK4a)はいろんな癌で発現しているので、
特定の疾患を覚えなくて良いです。
しかし、p53は大腸癌の原因として有名です。
さらに、p53の役割が「アポトーシスの誘導」ということは頻出です。
VHL(腎細胞癌や血管芽腫の原因遺伝子)と
MMR(遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Lynch 症候群)の原因遺伝子)は
別記事で解説します!お待ちください~(>_<)
DCCの覚え方・ゴロ
DCC → Daityou・colon cancer →大腸もコロンキャンサーも結局「大腸癌」
したがって、
- DCCは大腸癌のがん抑制遺伝子
と分かります。
②:①で覚えた遺伝子以外はがん遺伝子
ここまでで、第一段階終了です!
まとめると、
- BRCA
- APC
- WT
- RB
- MEN
- TGFBR
- PTEN
- p53(TP53)
- p16(p16INK4a)
- VHL
- DCC
- MMR
は、がん抑制遺伝子でしたね。
これ以外はがん遺伝子と考えましょう。
つまり、
- SRC
- K-ras(KRAS)
- Bcr-Abl
- c-kit
- HER2
- ERBB
- EGFR
- EML4-ALK
- N-myc(MYCN)
- C-myc(MYCC)
- CyclinD
- BRAF
- RET
- BCL-2
- JAK2
は、がん遺伝子です。
③:がん遺伝子と疾患の覚え方・ゴロ
「別記事で解説します!お待ちください~(>_<) 」が連発します(笑)
必ずしっかり解説するので、期待して待っていてください(^^♪
ここで紹介するポイントは覚えてください。
SRC
がん遺伝子の中で最初に発見されました。
試験ではバツ肢(正解にならない選択肢)として出題されました。
「がん遺伝子」と認識できれば十分だと思います。
K-ras(KRAS)
覚え方
KRAS → sigmoid colon cancer(S字結腸癌) + suizou cancer → S字結腸癌 (=大腸癌)と 膵臓癌
したがって、K-ras(KRAS)は
- 大腸癌
- 膵癌
のがん遺伝子と分かります。
無理やり感が否めない。。。
けど、無いよりマシ(>_<)
「大腸癌の中でS字結腸癌が最多」という知識と結び付けて覚えよう。
↑テストにでます。
Bcr-Abl
一部のALL(急性リンパ性白血病)とCML(慢性骨髄性白血病)の原因遺伝子です。
別記事で解説します!お待ちください~(>_<)
c-kit
覚え方
c-kit = Gist = GIST
したがって、c-kitは
- GIST
のがん遺伝子と分かります。
詳しくは別記事で解説します!お待ちください!
HER2
覚え方(連想ゲーム)
HER2→her(彼女)→彼女の胸(を想像しましょう)→乳癌
したがって、HER2は
- 乳癌
のがん遺伝子と分かります。
ERBB
HER2と同義ですが、別物として選択肢に現れることがあります。
(↑特に気にしないで良いです。)
覚え方
ERBBを逆から読むと → BBRE → BREST → brest cancer → 乳癌
したがって、ERBBは
- 乳癌
のがん遺伝子と分かります。
EGFR
いろいろな癌で発現しています。
国家試験的に大切なのは、「肺腺癌で高率に発現している」ことです。
別記事で解説します!お待ちください~(>_<)
EML4-ALK
覚え方
EML4-ALK の 「L」 は Lung(肺→肺癌) の 「L」
したがって、EML4-ALKは
- 肺癌
のがん遺伝子と分かります。
N-myc(MYCN)
覚え方
N-myc(MYCN) の「N」は Nerve(神経→神経芽腫) の 「N」
したがって、N-myc(MYCN)は
- 神経芽腫
のがん遺伝子と分かります。
ちなみに、テストには出てきていないのですが、肺小細胞癌もN-mycが原因になり得るそうです。
神経芽腫のマーカーってNSEなんだよね。
他にNSEが上昇するっていえば、肺小細胞癌が有名。
(ほかにはメルケル細胞癌がテストに出る。)
つまり、NSE繋がりで
「肺小細胞癌でもN-mycが原因になる」って覚えるのもアリ!
(今のところテストでは見てない。)
C-myc(MYCC)
いろいろな癌で発現しています。
「がん遺伝子」と認識できれば十分だと思います。
自分のメモには「Burkittリンパ腫」って書いてあったんだけど、
ハレルは覚えて無いよ(笑)
CyclinD
覚え方
CyclinD → サイクリンD → サークルンD
サークル = 丸
Dも〇(丸)っぽい
丸 → マル → マントル → マントル細胞リンパ腫
したがって、CyclinDは
- マントル細胞リンパ腫
のがん遺伝子と分かります。
BRAF
覚え方
BRAF → BRACK → BLACK → 黒 → 悪性黒色腫
したがって、BRAFは
- 悪性黒色腫
のがん遺伝子と分かります。
RET
「MENはがん抑制遺伝子であり、不活性化で多発性内分泌腫瘍1型の原因となる」と説明しました。
では、多発性内分泌腫瘍2型の原因は何か?が気になりますよね。
そうです、「RET」です。
RETが「がん抑制遺伝子」ではなく、「がん遺伝子」という点を押さえておけば良いと思います。
疾患 | 遺伝子 |
---|---|
多発性内分泌腫瘍1型 | MEN(がん抑制遺伝子) |
多発性内分泌腫瘍2型 | RET(がん遺伝子) |
JAK2
JAK2は骨髄増殖性疾患の癌原遺伝子です。
詳しくは「血液」で解説します。
お待ちください~(>_<)
確認問題
a K-ras
b BRAF
c BRCA
d DCC
e WT
f c-kit
g HER2
h RB
i PTEN
j Bcr-Abl
a p53
b WT
c MEN
d DCC
e HER2
f APC
g HER2
h VHL
i c-kit
j K-ras
がん遺伝子・がん抑制遺伝子【 まとめ 】
がん遺伝子 | 覚えるべき疾患 |
---|---|
SRC | 無し |
K-ras(KRAS) | 大腸癌・膵癌 |
Bcr-Abl | 一部のALL(急性リンパ性白血病) CML(慢性骨髄性白血病) |
c-kit | GIST |
HER2 | 乳癌 |
ERBB | 乳癌 |
EGFR | 特に、肺腺癌 |
EML4-ALK | 肺癌 |
N-myc(MYCN) | 神経芽腫 |
C-myc(MYCC) | 無し |
CyclinD | マントル細胞リンパ腫 |
BRAF | 悪性黒色腫 |
RET | (多発性内分泌腫瘍2型) |
BCL-2 | 濾胞性B細胞リンパ腫 |
JAK2 | 骨髄増殖性疾患 |
がん抑制遺伝子 | 覚えるべき疾患 |
---|---|
BRCA | 遺伝性乳癌卵巣癌症候群 |
APC | 家族性大腸腺腫症 =家族性腺腫性ポリポーシス |
WT | Wilms腫瘍(腎芽腫) |
RB | 網膜芽細胞腫 |
MEN | 多発性内分泌腫瘍1型 |
TGFBR | 無し |
PTEN | 無し |
p53(TP53) | 大腸癌 |
p16INK4a | 無し |
VHL | 腎細胞癌・血管芽腫 |
DCC | 大腸癌 |
MMR | 遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (Lynch 症候群) |
終わりに
お疲れ様でした。
これを覚えたら怖いもの無しです!
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