研修医1年目、今日も生きている。
自分が生きた記録を残しておこうと思う。
全財産は妻に譲ることにした。
前回の日記のような働き方をしていると自ずと命はすり減り、貯金は増える。
もちろん、貯金を使う時間はない。
医師は高給ホワイトではなく、短命ブラックである。
命を献上するボランティア活動と紙一重である。
睡眠を切り売りする職業は医師だけではない。
命を差し出して現場をまわす。その点では、医療職みんな同じだ。
夜勤の服を着た看護師がなぜか午前を通り越し午後までいる。
同期はすでに昇天しそうである。
「俺、医師やめるかも」
「俺、数日寝てない。」
「俺、まだ生きてる。」
「俺は大丈夫だ。まだいける。まだいける。まだいける。」
誰も、理由は聞かなかった。
当直明け、ハイになっている人間がいる。
どう考えても、目がイッてしまっている。
「俺がどうにかするから、お前は寝ておけ。」
研修医同士で助け合う。
そして現場は誰か一人欠けるだけで簡単に崩れる。
そんな社畜医の4月の給与を、ここだけの話として公開する。
この給与は15日締めの15日分であり、オリエンテーション1週間+前回の日記の激務1週間の給与である。
初任給の日、同期みんなの心臓の鼓動が伝わってくる。
給与明細を開いた。

80万。
感動して涙が止まらなかった。
正確には、乾いた笑いが止まらなかった。
患者と自分の命が金額として並んでいた。
患者と自分の命がこんなに安かったなんて。
同期全員で泣いた。
これは、過労死しても文句を言わない口止め料の入職手当40万と時給1500円程度の給料だった。
1週間ろくな睡眠を取らずに働いた。
時間としては一般企業の3倍に値する。
毎日心臓が止まりそうな修羅場を乗り越えてきた。
もちろん周りのサポートのおかげだが何人もの命を救って社会復帰に貢献しているはず。
それなのに・・・
どうやら命の価値はそう計算されるらしい。
いや、命はお金に変えられないのか。
さらにここ数日で学んだことはとても残酷だった。
どうやら命の価値は平等では無いらしい。
命の価値については、生きていればまた今度書くこととする。
まずは、ここまで育ててくれた家族と支えてくれた妻と仲間に感謝。
健康に生んでくれてありがとう。
まだ手足動いてるよ。
給与は家族、妻、仲間に使ってもらうことにした。
給与は救った命の対価とされている。
現場にいる全員が、自分の命を患者の命に還元している。
医療従事者にささやかな幸あれ。
社畜医、今日も生存。


