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【医療現場のパワハラ】人は仕事ではなく人で壊れる【社畜医生存日記5】

【医療現場のパワハラ】人は仕事ではなく人で壊れる【社畜医生存日記5】

研修医1年目、今日も生を実感している。

自分が生きた記録を残しておこうと思う。

全財産は妻に譲ることにした。

同期には幸せになって欲しい。

自分が犠牲になったとしても。

遺書ではない。

ただの雑務日誌である。

同期の頬に涙が伝う。

「俺、もう働けない。」

「俺、アイツの声がずっと聞こえる。」

「俺、夢の中でも出てくる。」

「俺、この環境でやっていく勇気が…もう無い。」

何と声をかけたらいいのか分からなかった。

医療業界では、上の言うことは絶対である。

逆らうという選択肢は存在しない。

どんなに理不尽でも、王様は王様だ。

都落ちは起こらない。

絶望だけが更新される。

人が仕事を辞める理由は、残業だろうか。給与だろうか。

違う。

人は人間関係で辞める。

やりがい搾取と言われても、私たちの労働に価値があると信じている。

私たちには志がある。

故に、労働条件だけでは仕事をやめない。

どれだけ忙しくても、

どれだけ眠れなくても、

どれだけ命を削っても、

周囲がまともな人なら働ける。

私たちは恵まれている。

看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床工学技士、管理栄養士、事務、掃除の方々。

多くの人が支えてくれる。

人間関係さえ壊れなければ、自分の命を犠牲にしても働ける。

ただし、例外がある。

心理的安全性を害された時だ。

特に、立場が上の人間から。

入職して1か月。

当直中、帰宅か入院か迷う症例があった。

上級医にPHSで相談した。

データも画像も見ずに言われた。

「あ?そんなん自分で判断しろ。いちいちかけてくんな。」

電話は切れた。

まだ1か月だ。

だが、もう一人前らしい。

全てを自分で判断しないといけない。

頼るな。

ミスるな。

責任は取れ。

新人向けのルールは存在しない。

「ナンセンス。」

「なめてんの?」

「これ常識だから。」

「使えねーな。」

人格否定、暴言、威圧。

無理な要求。

失敗の公開処刑。

それが教育と呼ばれている。

自分のことなら耐えられる。

だが、

「お前の同期は無能。」

「昔の研修医はもっと出来た。」

「アイツら医学に興味ないだろ。」

「お前の同期、仕事できねーよな。」

それだけは、耐えられなかった。

同期が侮辱されるのが、たまらなく悔しかった。

同期はPHSでのコンサルトを無視され、LINE電話でのコンサルトも着信拒否され、誰も頼れない状況下で頑張っていた。

同期はさらに研修医2年目からも同様な仕打ちを受けていた。

その研修医2年目は、他の研修医1年目に「後のメンタルケアよろしく」とだけ言い残し、すべてを丸投げしてきた。

自分のケツは、自分で拭けないらしい。

面白いことに、その研修医2年目は「後輩の育成方法」という本を読んでいたそうだ。

同期は続けた。

「いや、まずはアンガーマネジメントだろ。」

ごもっともである。

情緒不安定な人間と一緒に働くのは苦痛である。

そして、その存在を生み出してしまった環境そのものが、何よりも憎い。

毎日動脈採血が必要な患者がいた。

「Aラインはとるな。」

「お前が毎日やれ。」

「朝までに採血結果を出せ。」

医学的な合理性はない。

教育的意義もない。

業務上必要性がなく、目的を逸脱している。

しかし、これが当たり前だと思い、誰にも相談しなかった。

そして、何とかやり遂げた。

看護師も似たようなものだ。

夜勤明けでも定時で帰れない。

「記録終わるまで帰るな。」

これは構造で解決すべき問題である。

インシデントが起きれば、原因より先に人格が裁かれる。

「向いてないんじゃない?」

「その性格で看護師やるの?」

患者の前では天使、詰所ではサンドバッグ。

泣く時間はない。

トイレで3分だけ。

それでも次の患者が鳴らす。

ナースコールは、止まらない。

上級医に飲み会に誘われた。

断れなかった。

食欲もない。

味も分からない。

パワハラで研修医を潰した話を武勇伝として語っていた。

不快極まりなかった。

苦痛の数時間が過ぎた。

二次会は断った。

「人としては嫌いじゃないけど、クソだな。」

そう言い放ち、去っていった。

評価なのか、呪いなのか分からなかった。

そんな環境下で朝から晩まで毎日働いた。

働き続けて、初めて知った。

これがパワハラだということを。

同期は、もっと深く沈んでいることを。

同期の話は、生きていればまた今度書くことにする。

同じ光景は、病棟でも見ている。

看護師が泣いている。

理由はだいたい同じだ。

「使えない。」

「声が小さい。」

「聞くな、自分で考えろ。」

「その表情が気に入らない。」

ミスの内容ではない。

人格を殴られている。

先輩看護師に呼び出され、詰所の奥で小さくなっている新人を見る。

注意ではない。

処刑である。

その後も彼女は点滴を繋ぎ、ナースコールに走り、笑顔で患者に対応している。

何事もなかったかのように。

壊れたまま、働いている。

この医療業界には、パワハラがある。

構造として存在する。

看護学生が病棟で震えている理由も、やっと分かった。

医師だけではない。

きっと全職種にある。

医療業界全体が壊れている。

個人を責めたいわけではない。

命を扱う環境で志が消えたとき、人は壊れる。

壊れた人が、次を壊す。

それが文化として保存されている。

それでも、今日も病院は回っている。

誰かが壊れ、

誰かを壊し、

誰かが辞めることで。

そしてまた、新しい誰かが配属される。

社畜医、今日も生存。

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