・アミロイドーシスの種類
・原因になるアミロイド
・国家試験で大切なポイント
をまとめて欲しい!
こういった悩みを解決します。
本記事では、アミロイドーシス・アミロイド関連の情報を総まとめします。
- ①試験で大切なポイントの覚え方・ゴロ
- ②詳しい説明
- ③確認問題・医師国家試験
の順で解説します。
単純暗記はゴロでサクッと覚えちゃおう。
少し詳しく書いたから、そこは頭の整理のために使ってみてね!
アミロイドーシスの種類と原因アミロイドの組み合わせの覚え方・ゴロ
アミロイドーシスの種類 | 原因蛋白 (アミロイド前駆蛋白) | アミロイド蛋白 | 原因背景 |
---|---|---|---|
原発性アミロイドーシス (ALアミロイドーシス) | 免疫グロブリン軽鎖(L鎖) | AL | 形質細胞異常 (eg.MM多発性骨髄腫のM蛋白) |
反応性アミロイドーシス (AAアミロイドーシス) | 血清アミロイドA | AA | 慢性炎症性疾患 (eg.RA関節リウマチ 家族性地中海熱) |
透析アミロイドーシス | β2ミクログロブリン | Aβ2M | 長期透析 |
FAP 家族性アミロイドポリニューロパチー (遺伝性ATTRアミロイドーシス) | 変異型トランスサイレチン | ATTRv | 遺伝(AD常染色体優性遺伝) |
SSA 老人性全身性アミロイドーシス (野生型ATTRアミロイドーシス) | 野生型トランスサイレチン | ATTRwt | 加齢(高齢男性に好発) |
ゴロ:あら、原発? ああっ、関節が! ベッドで透析、サイレント家族。
あら、原発 → あら(=AL)は原発性アミロイドーシス
ああっ、関節が! → ああっ(=AA)は関節リウマチ等の反応性アミロイドーシス
ベットで透析 → ベット(=ベータ=β2ミクログロブリン)は透析アミロイドーシス
サイレント家族 →サイレント(=トランスサイレチン)は家族性アミロイドポリニューロパチー
※老人も家族と考えて、老人性全身性アミロイドーシスもトランスサイレチンが原因と覚える。
アミロイドーシスには30種以上ありますが、特に大切なのは
- 原発性アミロイドーシス
- 反応性アミロイドーシス
- 透析アミロイドーシス
- FAP家族性アミロイドポリニューロパチー
- SSA老人性全身性アミロイドーシス
の5種類です。
ゴロの解説と詳しい説明を後述します。
関節が痛くて「ああっ痛い!」っていうイメージで覚えよう!
アミロイドーシスとは?【国家試験でのポイント】
※試験でのポイントは赤字で記載。
アミロイドーシスとは、
- 「異常に凝集した不溶性蛋白(アミロイド蛋白)が体に沈着して、機能障害を起こす疾患群」
です。
アミロイドーシスには原因となる原因蛋白(アミロイド前駆蛋白)が存在し、
アミロイド前駆蛋白が凝集することでアミロイド蛋白となります。
アミロイド前駆蛋白とアミロイド蛋白の名前はほぼ同じだから、
アミロイドーシスの種類とアミロイドの名前の組み合わせを
ゴロの雰囲気で覚えよう!
試験には関係ない解説 【全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシス】
アミロイドーシスは
- 全身性アミロイドーシス
- 限局性アミロイドーシス
に分けられます。
限局性アミロイドーシスはアルツハイマー病・プリオン病・アミロイドアンギオパチーが含まれます。
これらは個別に勉強するとして、全身性アミロイドーシスをまとめます。
原発性アミロイドーシス
アミロイドーシスの種類 | 原因蛋白(アミロイド前駆蛋白) | アミロイド蛋白 | 原因背景 |
---|---|---|---|
原発性アミロイドーシス (ALアミロイドーシス) | 免疫グロブリン軽鎖(L鎖) | AL | 形質細胞異常 (eg.MM多発性骨髄腫のM蛋白) |
ゴロ:あら、原発
→ あら(=AL)は原発性アミロイドーシス
原発性アミロイドーシスはALアミロイドーシス・免疫グロブリン性アミロイドーシスとも呼ばれます。
ALは「Amyloid Lightchain」であり、免疫グロブリンの軽鎖(L鎖)がアミロイド蛋白の正体と分かります。
「あら」の「ら」がライトチェインだから、軽鎖って思い出せるね!
原因は免疫グロブリンが増える系疾患である、MM多発性骨髄腫・原発性マクログロブリン血症です。
※多発性骨髄腫のBenes-Jones蛋白が変性してALアミロイドとなる。
軽鎖から免疫グロブリンを連想して、
そこから免疫グロブリンが増える系疾患の多発性骨髄腫を思い出せる!
反応性アミロイドーシス
アミロイドーシスの種類 | 原因蛋白(アミロイド前駆蛋白) | アミロイド蛋白 | 原因背景 |
---|---|---|---|
反応性アミロイドーシス (AAアミロイドーシス) | 血清アミロイドA | AA | 慢性炎症性疾患 (eg.RA関節リウマチ 家族性地中海熱) |
ゴロ:ああっ、関節が!
→ ああっ(=AA)は関節リウマチ等の反応性アミロイドーシス
反応性アミロイドーシスはAAアミロイドーシスとも呼ばれます。AAは「Amyloid A」です。
反応性とは「続発性・二次性」という意味で、慢性炎症に伴うアミロイドーシスです。
原因は慢性炎症性疾患の、関節リウマチ(9割)、家族性地中海熱、悪性腫瘍、感染症(結核)、などがあります。
関節リウマチが9割だから、試験に出やすいのも関節リウマチ!
だからゴロに入れておいたよ!
前駆蛋白のSAA(血清アミロイドA:serum amyloid A)はCRPと同様な急性炎症時に血中に急上昇する蛋白で、
関節リウマチといった炎症疾患で上昇します。
SAAのN末端側約2/3がAA蛋白として蓄積するとアミロイドーシスが生じます。
甲状腺悪性腫瘍の甲状腺髄様癌では、病理でアミロイド沈着が見られるのは暗記必須の知識です。
厳密にいえばアミロイドーシスではないそうですが、関連付けして覚えちゃいましょう!
(慢性炎症→悪性腫瘍→甲状腺髄様癌)
透析アミロイドーシス
アミロイドーシスの種類 | 原因蛋白(アミロイド前駆蛋白) | アミロイド蛋白 | 原因背景 |
---|---|---|---|
透析アミロイドーシス | β2ミクログロブリン | Aβ2M | 長期透析 |
ゴロ:ベットで透析
→ ベット(=ベータ=β2ミクログロブリン)は透析アミロイドーシス
アミロイドは不溶性であり、透析では取り除けないので、長期透析によって透析アミロイドーシスが起こります。
透析はベッドで行うので、ベッド→ベータ→β2ミクログロブリンと連想します。
Aβ2Mは「Amyloid-β2-Microglobulin」と考えましょう。
ATTRが蓄積するアミロイドーシス
アミロイドーシスの種類 | 原因蛋白(アミロイド前駆蛋白) | アミロイド蛋白 | 原因背景 |
---|---|---|---|
FAP 家族性アミロイドポリニューロパチー (遺伝性ATTRアミロイドーシス) | 変異型トランスサイレチン | ATTRv | 遺伝(AD常染色体優性遺伝) |
SSA 老人性全身性アミロイドーシス (野生型ATTRアミロイドーシス) | 野生型トランスサイレチン | ATTRwt | 加齢(高齢男性に好発) |
ゴロ:サイレント家族
→サイレント(=トランスサイレチン)は家族性アミロイドポリニューロパチー
※老人も家族と考えて、老人性全身性アミロイドーシスもトランスサイレチンが原因と覚える。
ATTRは「Amyloid Transthyretin(トランスサイレチン)」であり、
- ATRRの変異型variantであるATTRvが蓄積する、遺伝が原因の「FAP家族性アミロイドポリニューロパチー」。
- ATTRの野生型wild typeであるATTRwtが蓄積する、加齢が原因の「SSA老人性全身性アミロイドーシス」。
の2種類があります。
- 「家族性」って付いている=遺伝が原因
- 「老人」って付いている=加齢が原因
も覚えましょう。
FAP:Familial Amyloid Polyneuropathy
SSA:Senile Systemic Amyloidosis
「ワイルドな老人」のイメージで野生型wild type → SSA
消去法で変異型variant → FAP
現在、SSA老人性全身性アミロイドーシスという名前が改変され、
「ATTRwtアミロイドーシス」と呼ばれるようになりつつあります。
アミロイドーシスでなぜ貧血が起こるのか?
アミロイドーシスの症状は参考書に書いてあるから、
わざわざ説明しないよ!
覚えにくい貧血だけ説明するよ。
アミロイドーシスで貧血が起こる機序として、
- MMによる汎血球減少
- 慢性炎症による二次性貧血
- アミロイド腎症による腎障害でエリスロポエチン減少
- 慢性下痢、低栄養、粘膜の脆弱化に伴う粘膜出血による貧血
が考えられます。
※アミロイドーシスによって起こる
- 心アミロイドーシス
- アミロイド腎症
- アミロイドアンギオパチー(脳アミロイド血管症)
は過去問ベースで覚えましょう。
確認問題・医師国家試験
アミロイドの組み合わせとして間違っているのはどれか。
a AAアミロイドー家族性地中海熱
b Aβ2Mー透析
c AAアミロイドー髄様癌
d ATTRー家族性アミロイドポリニューロパチー
e AAアミロイドー多発性骨髄腫
答えはe
多発性骨髄腫はALアミロイド
医師国家試験【115-D4】
心アミロイドーシスについて誤っているのはどれか。
a 二次性心筋症である。
b 心電図で低電位を認める。
c 心筋生検が診断に有用である。
d 左室拡張障害による心不全を生じる。
e 老人性全身性アミロイドーシスでは免疫グロブリンが心臓に沈着する。
答えはe
心臓にアミロイドが蓄積し、二次性心筋症になり、周りがアミロイドに囲まれるため心電図で低電位を認める。
悪化すると拡張障害から心不全に至る。
アミロイドときたら、生検してCongo-red染色。
老人性全身性アミロイドーシスはトランスサイレチンが蓄積。
免疫グロブリンは原発性アミロイドーシス。
追記:医師国家試験【110I-73】では、脳皮質下出血→Congo-red染色で、
出血の原因は?→アミロイドアンギオパチーを選ばせる問題が出題された。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
最後に1ページサマリーをもう一度確認して、終わりにしましょう。
アミロイドーシスの種類 | 原因蛋白 (アミロイド前駆蛋白) | アミロイド蛋白 | 原因背景 |
---|---|---|---|
原発性アミロイドーシス (ALアミロイドーシス) | 免疫グロブリン軽鎖(L鎖) | AL | 形質細胞異常 (eg.MM多発性骨髄腫のM蛋白) |
反応性アミロイドーシス (AAアミロイドーシス) | 血清アミロイドA | AA | 慢性炎症性疾患 (eg.RA関節リウマチ 家族性地中海熱) |
透析アミロイドーシス | β2ミクログロブリン | Aβ2M | 長期透析 |
FAP 家族性アミロイドポリニューロパチー (遺伝性ATTRアミロイドーシス) | 変異型トランスサイレチン | ATTRv | 遺伝(AD常染色体優性遺伝) |
SSA 老人性全身性アミロイドーシス (野生型ATTRアミロイドーシス) | 野生型トランスサイレチン | ATTRwt | 加齢(高齢男性に好発) |
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