サブクリニカルクッシングってなに?
クッシング症候群とは何が違うの?
こういった悩みを解決します。
本記事では副腎性サブクリニカルクッシングの診断基準を分かりやすくまとめました。
副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準の覚え方
【副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準】
『必須条件①②③+ア~オのどれか1つがあれば診断』
- ①副腎腫瘍の存在(CTなどでの偶発発見)
- ②クッシング症候群に特徴的な身体症状の欠如
=クッシング徴候は無し(高血圧・全身性肥満・耐糖能異常は特徴的ではない。) - ③必須検査所見
・血中コルチゾールの早朝基礎値が正常
・デキサメタゾン抑制試験でも抑制されない自律的なコルチゾール分泌
- ア:ACTH分泌の抑制
- イ:副腎シンチグラフィでの患側の取り込みと健側の抑制
- ウ:日内リズムの消失
- エ:血中DHEAS値の低値
- オ:副腎腫瘍摘出後に一過性の副腎不全症状があった場合
難しい。
これを簡略化したすると、こうなります。
覚え方:副腎性subclinical Cushing症候群は
- 「クッシング徴候無し」
- 「コルチゾールの早朝基礎値は正常」
- 「副腎腺腫性クッシング症候群の特徴」
を満たすもの。
『クッシング徴候がなぜか無いし、コルチゾールの早朝基礎値は正常なのに、
その他は副腎腺腫性クッシング症候群に似る』
というのが副腎性subclinical Cushing症候群です。
かなり覚えやすくなった!
さらに、簡略化します!
クッシング症候群(通常の4分類)のコルチゾール早朝基礎値は「軽症ならほぼ正常、重症だと高値」になります。
健常人でも日内変動によって早朝基礎値は上昇するため、軽症のクッシング症候群とは見分けがつきません。
このことを考慮すると、
「健常人でもクッシング症候群でもサブクリニカルクッシング症候群でも、コルチゾール早朝基礎値は正常という状態があり得る」
ということになります。
したがって、副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準を最も簡略化すると下記のようになります。
覚え方:副腎性subclinical Cushing症候群は
- 「副腎腺腫性クッシング症候群の特徴」-「クッシング徴候」
を満たすもの。
副腎腺腫性クッシング症候群の特徴からクッシング徴候を引いたものが、副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準です。
テストには出ない『preclinicalからsubclinicalに変更された理由』
現在subclinical Cushing症候群と呼ばれている症候群は元々preclinical Cushing症候群と呼ばれていました。
これはpreclinical Cushing症候群が進行すると、
顕性Cushing症候群(=通常のCushing症候群)に進行すると考えられていたからです。
しかし、現在ではpreclinical Cushing症候群が進行して顕性Cushing症候群になることは稀だという考えから、
subではなくpreになったのです。
クッシング徴候とは?
コルチゾールの感受性が高い末梢の筋・皮膚・血管の蛋白が分解され、
インスリン感受性の高い中枢の顔・肩・体幹に再分配されることで、
通常の高血糖では起こりえない特徴が現れます。
こういった特異的な特徴をクッシング徴候といいます。
クッシング徴候の代表例は
- 満月様顔貌
- 水牛様脂肪沈着
- 中枢性肥満
- (伸展性)赤色皮膚線状
です。
クッシング症候群以外でも見られる徴候はクッシング徴候ではありません。
↓↓↓下記はクッシング徴候ではない。
浮腫・出血斑(皮下溢血)・高血糖(耐糖能異常・二次性糖尿病)・脂質異常症(高脂血症)・無月経・多毛・尋常性ざ瘡(ニキビ)・高血圧・低カリウム血症・骨粗鬆症・尿路結石(尿中カルシウム増加)・尿量増加・白血球増加・好中球増加・好酸球比率低下・リンパ球比率低下・易感染性・精神症状・症状性精神障害(抑うつ)
副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準の覚え方の解説
覚え方:副腎性subclinical Cushing症候群は
- 条件A「クッシング徴候無し」
- 条件B「コルチゾールの早朝基礎値は正常」
- 条件C「副腎腺腫性クッシング症候群の特徴」
を満たすもの。
上記の条件A・B・Cと診断基準を照らし合わせて見ると下記のようになります。
【副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準】
『必須条件①②③+ア~オのどれか1つがあれば診断』
- ①副腎腫瘍の存在(CTなどでの偶発発見)→条件C
- ②クッシング症候群に特徴的な身体症状の欠如
=クッシング徴候は無し(高血圧・全身性肥満・耐糖能異常は特徴的ではない。)→条件A - ③必須検査所見
・血中コルチゾールの早朝基礎値が正常 →条件B
・デキサメタゾン抑制試験でも抑制されない自律的なコルチゾール分泌 →条件C
- ア:ACTH分泌の抑制 →条件C
- イ:副腎シンチグラフィでの患側の取り込みと健側の抑制 →条件C
- ウ:日内リズムの消失 →条件C
- エ:血中DHEAS値の低値 →条件C
- オ:副腎腫瘍摘出後に一過性の副腎不全症状があった場合 →条件C
さらに、
覚え方:副腎性subclinical Cushing症候群は
- 「副腎腺腫性クッシング症候群の特徴」-「クッシング徴候」
を満たすもの。
条件A:クッシング徴候がないこと
条件C:副腎腺腫性クッシング症候群の特徴
を考慮すると、
【副腎性subclinical Cushing症候群の診断基準】
『必須条件①②③+ア~オのどれか1つがあれば診断』
- ①副腎腫瘍の存在(CTなどでの偶発発見)→条件C
- ②クッシング症候群に特徴的な身体症状の欠如
=クッシング徴候は無し(高血圧・全身性肥満・耐糖能異常は特徴的ではない。)→条件A - ③必須検査所見
・血中コルチゾールの早朝基礎値が正常 →条件C
・デキサメタゾン抑制試験でも抑制されない自律的なコルチゾール分泌 →条件C
- ア:ACTH分泌の抑制 →条件C
- イ:副腎シンチグラフィでの患側の取り込みと健側の抑制 →条件C
- ウ:日内リズムの消失 →条件C
- エ:血中DHEAS値の低値 →条件C
- オ:副腎腫瘍摘出後に一過性の副腎不全症状があった場合 →条件C
となります。
上記から分かるように、副腎性subclinical Cushing症候群は副腎腺腫性Cushing症候群にかなり似ています。
「副腎性subclinical Cushing症候群は副腎腺腫性Cushing症候群にかなり似ている」というイメージだけでも、
かなり覚えやすくなるので、意識してみてください。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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