メタボリックシンドロームの診断基準ってややこしくて覚えられない。
覚え方・ゴロを教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
本記事ではメタボリックシンドロームの診断基準の覚え方・ゴロの紹介に加えて、
なぜ診断基準にTC総コレステロール・LDLコレステロールが入っていないのを解説します。
基準値はゴロでサクッと覚えちゃおう!
メタボリックシンドロームの診断基準の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
メタボリックシンドロームの診断基準
必須項目
:腹囲(ウエスト周囲径) 男性≧85cm 女性≧90cm
選択項目
:下記の①②③のうち、2つ以上を満たす
①空腹時血糖≧110mg/dL
②収縮期血圧≧130mmHgまたは拡張期血圧≧85mmHg
③TGトリグリセリド≧150mg/dLまたはHDLコレステロール<40mg/dL
方針としては、
- 腹囲(ウエスト周囲径)はゴロで覚える
- 血圧は視覚的にイラスト+覚え方で覚える
- 空腹時血糖・TG・HDLコレストロールは基準値から導く
- TC総コレステロールとLDLコレステロールが診断基準に入っていない理由を考える
の4本立てで覚えていきます。
メタボリックシンドロームの診断基準の概要は
ウエスト+生活習慣病の3兄弟(①血糖+②血圧+③脂質)!
必須項目:腹囲(ウエスト周囲径) 男性≧85cm 女性≧90cm
ゴロ:メタボなヤゴくれ
メタボ→メタボリックシンドロームの診断基準
ヤゴ→85
くれ→90
ヤゴはトンボの幼虫
女性は男性と比べて筋肉が少なく、基礎代謝量が小さいため太りやすいです。
したがって、腹囲(ウエスト周囲径)は女性が男性より5cm大きく設定されています。
以上より、メタボリックシンドロームの診断基準の腹囲(ウエスト周囲径)は
- 男性≧85cm
- 女性≧90cm
と分かります。
選択項目①空腹時血糖≧110mg/dL
メタボリックシンドロームの診断基準の空腹時血糖は基準値から導けます。
健常者の空腹時血糖の基準値が70~110mg/dLなので、
メタボリックシンドロームの診断基準は
- 空腹時血糖≧110mg/dL
と分かります。
HbA1cはメタボリックシンドロームの診断基準に含まれていません。
医師国家試験【114E16】で
HbA1cが我が国のメタボリックシンドロームの診断基準に含まれている。→×
という選択肢がありました。
選択項目②収縮期血圧≧130mmHgまたは拡張期血圧≧85mmHg
覚え方:正常血圧の120/80mmHgと高値血圧140/90mmHgの真ん中
収縮期血圧120と140の真ん中→130
拡張期血圧80と90の真ん中→85
以上より、メタボリックシンドロームの診断基準の血圧は
- 収縮期血圧≧130mmHg
または - 拡張期血圧≧85mmHg
と分かります。
選択項目③TGトリグリセリド≧150mg/dLまたはHDLコレステロール<40mg/dL
メタボリックシンドロームの診断基準のTGとHDLコレステロールは基準値から導けます。
- 健常者のTGトリグリセリド(中性脂肪)の基準値は50~150mg/dL
- 健常者のHDLコレステロールの基準値は40mg/dL以上
なので、メタボリックシンドロームの診断基準は
- TGトリグリセリド≧150mg/dL
または - HDLコレステロール<40mg/dL
と分かります。
診断基準にTC・LDLコレステロールは含まれていないから
気を付けよう!
脂質の指標にはTC総コレステロール・LDLコレステロール・HDLコレステロール・TGトリグリセリドがありますが、
なぜメタボリックシンドロームの診断基準には、
TC・LDLコレステロールではなく、HDLコレステロールとTGを用いるのでしょうか?
総コレステロールがメタボリックシンドロームの診断基準に入っていない理由
上記の記事より、総コレステロールはFriedewald推定式より
- 総コレステロール=HDLコレステロール+LDLコレステロール+TG÷5
で計算されます。
Friedewald推定式には善玉であるHDLコレステロールも含んでいるため、
HDLコレステロールが上昇すると総コレステロールも上昇してしまいます。
一般に「総コレステロールが高い=悪い」と思われがちですが、
HDLコレステロール単独の上昇で総コレステロールが上昇する場合もあるので、
総コレステロールのみで判断することはできません。
こういった解釈に誤解が無いように総コレステロールは診断基準に入っていません。
総コレステロール上昇は一概に悪いとは言えないんだね!
そうだね。
総コレステロールが高くても、
HDLコレステロールのみが高いのであれば健康的です。
LDLコレステロールがメタボリックシンドロームの診断基準に入っていない理由
メタボリックシンドロームは単に高血糖(インスリン抵抗性)・高血圧・脂質代謝異常が合併した場合の総称ではなく、
個々の疾患の基盤に内臓脂肪の蓄積がある場合をメタボリックシンドロームと定義します。
内臓脂肪の蓄積は診断基準の腹囲(ウエスト周囲径)として反映されています。
ポイント
高血糖(インスリン抵抗性)・高血圧・脂質代謝異常の中で、
特に蓄積した内臓脂肪から分泌されたサイトカインによって起こる病態を
メタボリックシンドロームとして診断する。
個々の高血糖・高血圧・脂質代謝異常にアプローチするのではなく、
蓄積した内臓脂肪を改善することで高血糖・高血圧・脂質代謝異常を複合的に改善することができるという考え方。
メタボリックシンドロームとして重要な内臓脂肪と関連が強いのがTGトリグリセリドです。
吸収されたTGトリグリセリド(中性脂肪)は内臓脂肪として蓄積するため、
メタボリックシンドロームの基盤には高TGトリグリセリド血症があると言えます。
また、HDL内のアポ蛋白(リポ蛋白)と結合しているコレステロール(HDLコレステロール)は、
TGが増加するとTGとアポ蛋白が結合し、コレステロールの割合は減少してしまいます(HDLコレステロール減少)。
つまり、HDLコレステロールはトリグリセリドと連動性が高いのです。
一般にTGとHDLコレステロールは逆相関になると言われている。
以上をまとめると、
- メタボリックシンドロームの基盤には内臓脂肪の蓄積がある
- 内臓脂肪の蓄積によってTGトリグリセリドが増加・HDLコレステロールが減少するのが病態の流れ
と考えられるので、
診断基準にTGとHDLコレステロールが採用され、TC・LDLコレステロールは入っていないのです。
確かにLDLコレステロールも上がることがあるけど、
病態的に優先されるのはTG+HDLコレステロール。
終わりに
お疲れさまでした。
参考になれば幸いです。
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