Basedow病の治療って抗甲状腺薬とかヨウ素とか
沢山あって覚えられない。
何か良い覚え方ないの~?
こういった悩みを解決します。
本記事ではBasedow病の治療・副作用・禁忌の覚え方・ゴロの紹介と、
それぞれの試験でのポイントを分かりやすく解説していきます。
ゴロでサクッと覚えちゃおう!
バセドウ病:Basedow病は別名「Graves病:グレーブス病」
【抗甲状腺薬】バセドウ病の治療の覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
ゴロ:バスで酔うプロのチアはマゾ
バスで→Basu→Basedow病
酔う→ようそ→ヨウ素
プロの→プロピルチオウラシル
チアはマゾ→チアマゾール
したがって、Basedow病の治療は
- ヨウ素(無機ヨード投与・131I内服療法)
- プロピルチオウラシル
- チアマゾール(メチマゾール)
と分かります。
マゾ=マゾヒズムMasochismの略・ドMのこと。
肉体的精神的苦痛を感じにくく、逆に性的快感を得るタイプ。
この後でも出てくるから「ヤバイイメージ」を持っておこう。
一応、Basedow病の治療をまとめておこう。
Basedow病の治療
第一選択:抗甲状腺薬(①チアマゾール②プロピルチオウラシル)
第二選択:ヨウ素(無機ヨード投与・131I内用療法)・甲状腺亜全摘
※抗甲状腺薬で寛解しない場合、第二選択を用いる。
交感神経亢進症状:β遮断薬
【抗甲状腺薬】チアマゾールとプロピルチオウラシルの副作用の覚え方・ゴロ
チアマゾールの副作用「無顆粒球症」と「インスリン自己免疫症候群」
覚え方:無感症のチア(マゾ)をいじめるイメージ
無感症→無顆粒球症
チア(マゾ)→チアマゾール
いじめ→インスリンじこめんえき症候群→インスリン自己免疫症候群
したがって、チアマゾール(メチマゾール)の副作用は
- 無顆粒球症
- インスリン自己免疫症候群
と分かります。
実はプロピルチオウラシルでも無顆粒球症は起こり得ますが、
チアマゾールが多いのでゴロで覚えておきましょう!
チアマゾールはSH基(チオール)を構造上含むため
インスリン自己免疫症候群の原因になりますが、
プロピルチオウラシルは含まないため原因になりません。
無顆粒球症とは?
- 顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)が減少してしまう疾患。
- 診断基準は好中球が500/µL以下であること。
- 好中球減少にて易感染性になり、発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹・扁桃腫大といった感染症状が主訴。
- 対応は原因にもよるが、①チアマゾール中止②広域抗菌薬投与③顆粒球増加を狙ってG-CSF投与。
インスリン自己免疫症候群とは?
- インスリン注射歴がないにもかかわらずインスリン自己抗体ができてしまう疾患。
- インスリン自己抗体とインスリンが結合することで、インスリンの作用が低下するため、
フィードバックでインスリン生産が増加する。(血中インスリン高値・尿中Cペプチド高値) - 空腹時に結合が外れてインスリン作用が復活し、低血糖発作が起こる。
- 治療は①チアマゾール中止②ブドウ糖静注
- インスリンを分泌するインスリノーマとの鑑別が必要。
プロピルチオウラシルの副作用「ANCA関連血管炎」
覚えておいて欲しい事前知識(国試の免疫・膠原病の範囲)
ANCA関連血管炎で陽性になる抗体にPR3-ANCAとMPO-ANCAがある。
覚え方は免疫で解説します。
プロピルチオウラシルの副作用の覚え方
:プロピルチオウラシル→プロ→PR→PR3-ANCAを連想する。
つまり、プロピルチオウラシルでANCA関連血管炎が起こり得ると分かります。
実際には、PR3-ANCAとMPO-ANCAの両方が陽性になったり、
MPO-ANCAのみが陽性になったりしますが、
重要なのは「プロピルチオウラシルでANCA関連血管炎が起こり得る」ということなので、
割り切って覚えましょう。
実はチアマゾールでもANCA関連血管炎は起こり得ますが、
プロピルチオウラシルが多いのでゴロで覚えておきましょう!
抗甲状腺薬:チアマゾールとプロピルチオウラシルの副作用まとめ
- 抗甲状腺薬:無顆粒球症(特にチアマゾール)・ANCA関連血管炎(特にプロピルチオウラシル)
- チアマゾール:インスリン自己免疫症候群
他にも
- 薬剤アレルギーによる皮疹
- 肝臓で代謝されるため肝臓に負荷がかかり肝機能障害
の2点は頭の片隅に入れておきましょう。
【バセドウ病の治療】抗甲状腺薬の禁忌の覚え方・ゴロ
覚え方:マゾは妊婦に禁忌!妊婦はプロに任せよう!
マゾ→チアマゾール
禁忌!
妊婦は
プロ→プロピルチオウラシル
したがって、
- チアマゾールは妊婦に禁忌
- 妊婦にはプロピルチオウラシルを使う
と分かります。
無機ヨード投与・131I内用療法・甲状腺亜全摘
無機ヨード投与によるウォルフ・チャイコフ効果とエスケープ現象
ヒトには甲状腺ホルモンの原料となるヨウ素が大量に体内に入ってきたとき、
甲状腺機能亢進にならないようにする機構があります。
これをウォルフ・チャイコフ効果(Wolff-Chaikoff effect)と言います。
ウォルフ・チャイコフ効果が継続すると甲状腺機能低下になってしまうので、
数日で効果は無くなります。(これをエスケープ現象(escape現象)と言います。)
したがって、Basedow病の患者に無機ヨードを投与すると、
数日間、甲状腺ホルモンの合成を阻害させることができます。
131I内用療法
131I(ヨウ素131)を内服して、β線で甲状腺を破壊する療法です。
1~2カ月で効果が現れ、数年後に甲状腺機能低下症になってしまいます。
CBTや大学の試験に出題されるヨウ素の話を追記しておきます。
興味のある人は↓をクリックしてみてみてください。
123I(ヨウ素123)と131I(ヨウ素131)の半減期の違い・使い分け【覚え方・ゴロ】
123I(ヨウ素123) | 131I(ヨウ素131) | |
---|---|---|
半減期 | 13時間 | 8日 |
用途 | 診断 甲状腺123Iシンチグラム | 治療 放射性131I内用療法 |
その他 | 妊婦(胎児は放射線感受性が高いため) 18歳未満には行わない。 |
ゴロ:ワン・ツー・スリーで診断して、いざ治療!
ワン・ツー・スリーで診断して → 123Iは診断に用いられる。
いざ → 13 → 131Iは治療に用いられる。
CBTや大学の試験はコレで何とか乗り越えました。
数時間で終わる診断には半減期の短い123Iを、
継続的に行いたい治療には半減期の長い131Iをといったイメージです。
β線・γ線といった話は放射線科で扱います!
甲状腺亜全摘
甲状腺ホルモンの分泌量を計算して、甲状腺2~3gを残し、他を取り除く方法です。
【確認問題】医師国家試験に挑戦
【108D-42】改題
42 歳の女性。2 日間の咽頭痛と 40 ℃の発熱を主訴に来院した。
2 か月前に甲状腺機能亢進症と診断され、チアマゾール 30mg/日を 1 か月前から内服している。
体温 40.2 ℃。脈拍 92/分、整。呼吸数 40/分。SpO2 98 %(room air)。
両側の頸部に圧痛を伴う径1~2cm のリンパ節を数個触知する。
咽頭の著しい発赤と腫脹を認める。
血液所見:赤血球 468 万、白血球 1,300(桿状核好中球 0 %、分葉核好中球 0 %、単球 1 %、リンパ球 99 %)。
血液生化学所見:TSH 0.03µU/mL 未満(基準 0.2~4.0)、FT3 4.0pg/mL(基準 2.5~4.5)、FT4 1.1ng/dL(基準 0.8~2.2)。CRP 26mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。
抗菌薬の投与とともに行うべきなのはどれか。
a 顆粒球輸血を行う。
b 赤血球輸血を行う。
c 昇圧薬を投与する。
d チアマゾールを中止する。
e 副腎皮質ステロイドを投与する
答はd
咽頭痛・発熱・リンパ節の圧痛等から感染症を疑う。
チアマゾールと好中球0%より、原因は無顆粒球症だろう。
対応は①チアマゾール中止②広域抗菌薬投与③顆粒球増加を狙ってG-CSF投与。
【107D-8】
抗甲状腺薬の副作用でないのはどれか。
a ANCA関連血管炎
b 悪性高熱症
c 肝機能障害
d 皮膚掻痒症
e 無顆粒球症
答えはb
悪性高熱症は吸入麻酔薬や筋弛緩薬が原因です。
覚え方は麻酔科で紹介します!
【109A-57】改題
32歳の女性。
夕方に職場で急に倒れて外来の処置室に搬入された。
2年前からBasedow病で内服治療中であり1週前のFT4値は基準範囲内、
体重もBasedow病の発症前より増えていた。
本日も昼過ぎまでは元気に働いていた。
身長158cm、体重62kg。体温36.2℃。脈拍104/分、整。血圧138/64mmHg。呼吸数14/分。
呼びかけに反応しない。甲状腺腫を触知しない。全身に発汗が著明である。胸腹部に異常を認めない。
血糖簡易測定で測定感度以下だったため、
インスリン測定用の血液を採取してからブドウ糖を静注したところ覚醒した。
鑑別診断を進める上で、採取した検体で追加して測定すべき項目はどれか。2つ選べ。
a FT3
b ACTH
c Cペプチド
d 抗インスリン抗体
e 抗TSH受容体抗体
答えはcd
Basedow病で内服治療=チアマゾール内服だろう。
チアマゾール内服+発作性低血糖=インスリン自己抗体症候群
【111I-76】改題
45歳の男性。職場の廊下で倒れているところを同僚に発見され救急車で搬入された。
常用薬はない。身長172cm、体重84kg(ともに家族からの情報)。
体温36.5℃。心拍数110/分、整。血圧140/70mmHg。呼吸数18/分。
呼びかけにかすかにうなずき、痛み刺激に反応する。全身の発汗が著明である。胸腹部に異常を認めない。
血液生化学所見:血糖28mg/dL、Na 138mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 99mEq/L、空腹時インスリン〈IRI〉42μU/mL(基準17以下)、空腹時Cペプチド5.6ng/dL(基準0.6〜2.8以下)。
心電図、胸腹部エックス線写真、腹部超音波検査および頭部CTで異常を認めない。
鑑別診断に必要な検査はどれか。2つ選べ。
a 血中カテコラミン濃度の測定
b 血中抗インスリン抗体の測定
c 血中グルカゴン濃度の測定
d 血中コルチゾール値の測定
e 腹部造影CT
答えはbe
低血糖による意識障害。
インスリン・Cペプチドが高値なのでインスリン生産が増加しているとわかる。
常用薬は無いが、インスリン自己抗体症候群→bとインスリノーマ→eを鑑別にあげる。
aは褐色細胞腫、cはグルカゴノーマ、acともに高血糖をきたす。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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