バセドウ病といった甲状腺機能亢進症で
周期性四肢麻痺になるのってなんで?
試験でのポイントを教えて欲しい!
こういった悩みを解決します。
本記事では、
- 1章:甲状腺機能亢進で周期性四肢麻痺になる機序・原因
- 2章:周期性四肢麻痺のポイント
を解説します。
1章の知識自体は国試にでないから気になる人だけチェック!
サクッと2章のポイントをおさえよう!
周期性四肢麻痺は英語で「periodic paralysis」
【バセドウ病】甲状腺機能亢進で周期性四肢麻痺になる機序・原因
結論:甲状腺機能亢進症によりNa+/K+-ATPアーゼが活性化し、インスリンの作用が増強するから。
※Na+/K+-ATPアーゼ=Na+/K+-ATPase:ナトリウムカリウムATPアーゼ
甲状腺機能亢進症では甲状腺ホルモンによってナトリウムポンプ内のNa+/K+-ATPアーゼが活性化します。
ナトリウムポンプ・Na+/K+-ATPアーゼとは?
Na+/K+-ATPアーゼはナトリウムポンプ内の酵素であり、
1ATPを消費して、細胞内から3Na+を細胞外へ汲み出して、細胞外から2K+を細胞内へ汲み入れる。
Na+/K+-ATPアーゼが活性化している状態でさらに、
糖質摂取(過食・飲酒)や運動といったストレスが加わると、
インスリン分泌により血中カリウムが通常より多く細胞内に取り込まれ(※)、
発作性に低カリウム血症になります。
「発作性」と記載した理由は後で説明します!
(※)の説明:インスリンは糖(グルコース)とカリウムKをセットで細胞内に移行させる作用があります。
低カリウム血症になると、ネルンストの式より膜電位が低下します。
膜電位が低下すると膜電位と閾値電位の差が大きくなり、刺激が閾値に達しにくくなるため、
筋緊張を起こすほどの活動電位が発生しなくなります。
これによって、脱力を生じます。
「発作性」と書いたのは時間が経過すると(数時間~1.2日)、
細胞内からカリウムが流出し、血中カリウムが正常に戻り、脱力が消失するからです。
もちろん、重症例では脱力が継続することもありますが、治療をしないと、
麻痺→回復→麻痺→回復といったように繰り返す(一定間隔ではないが周期性がある)ため、
周期性+四肢麻痺=周期性四肢麻痺という名称になっているのです。
現病歴
『今朝、起き上がれなかったが、
数時間様子を見ていたら動けるようになった。』
っていう流れ(麻痺→回復)をおさえておこう。
「周期性四肢麻痺は自然に軽快することがある」って覚えてないと、
上記のような回復する現病歴で周期性四肢麻痺ではないって
勘違いしちゃうから注意!
また、周期性四肢麻痺では、麻痺していて使われずにいた筋線維が、
回復期に収縮するようになり、組織が崩壊し、CKが上昇します。
使われずに弱っていた筋が急に酷使され、
壊れちゃうイメージ!
周期性四肢麻痺のポイントの覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
周期性四肢麻痺のポイント
- ①原因は甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム血症が多い。
- ②糖質摂取(過食・飲酒)・運動が誘因になる。
- ③近位筋優位に対称性の脱力(弛緩性麻痺)が見られる。
- ④夜間~早朝に起こりやすい。
- ⑤若年(20~30歳代)・男性・アジア人(東洋人)に多い。
- ⑥CKが上昇することが多い。
①~③・⑥は国試的に大事。+④⑤はCBT・模試で出題されている。
模試だと「若年」「男性」「アジア人(東洋人)」が問われる。
原則として、筋の障害は近位筋優位に、神経の障害は遠位筋優位に生じます。
したがって、周期性四肢麻痺(筋の障害)は近位筋優位に生じます。
覚え方として、「キンキンの原則」って有名だね。
キンキン=キン(筋)の障害はキンイ(近位)筋優位
②③④⑤の覚え方のイメージ
社員旅行で若手男性社員(⑤)がハメを外して飲み食い・温泉卓球して(②)、
次の日起きたら(④)体が動かないイメージ(③)。
私が勘違いして間違えたポイントを紹介します↓↓↓
間違えやすいポイント①
間違えやすいポイント②
『テタニー』と『周期性四肢麻痺』を混同しないように注意!
テタニーは低Ca血症・低Mg血症が原因で起こる筋けいれん
周期性四肢麻痺は低K血症が原因で起こる脱力・麻痺
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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