【機序】ツベルクリン反応の陰転化とは？理由と鑑別疾患の覚え方・ゴロ

こういった悩みを解決します。

初めに、ツベルクリン反応が陰転化する疾患の覚え方・ゴロを紹介し、

次章で、ツベルクリン反応の陰転化の機序・理由について解説します。

ツベルクリン反応が陰転化する疾患の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】

以上より、ツベルクリン反応が陰転化する鑑別疾患は

• 悪性リンパ腫（Hodgkinリンパ腫・Non-Hodgkinリンパ腫）
• CLL慢性リンパ性白血病
• HIV感染（AIDS）
• HTLV-1感染（ATL成人T細胞白血病リンパ腫）
• 過敏性肺炎（過敏性肺臓炎）
• サルコイドーシス
• 麻疹
• 重症結核（重症肺結核・粟粒結核・結核性髄膜炎）

と分かります。

これらの疾患はすべて細胞性免疫が低下する疾患です。

下記のようにグルーピングできます。

• リンパ系疾患
  ：悪性リンパ腫（Hodgkinリンパ腫・Non-Hodgkinリンパ腫）・CLL慢性リンパ性白血病
• CD4陽性Tリンパ球感染
  ：HIV感染（AIDS）・HTLV-1感染（ATL成人T細胞白血病リンパ腫）
• T細胞障害
  ：麻疹
• 高度局所炎症性の肉芽腫形成疾患
  ：過敏性肺炎（過敏性肺臓炎）・サルコイドーシス・重症結核（重症肺結核・粟粒結核・結核性髄膜炎）

また、上記以外にも、

• 糖尿病・ステロイド・免疫抑制剤・悪性腫瘍・高齢者・低栄養

でも細胞性免疫が低下し、ツベルクリン反応陰転化が認められることもありますが、

試験的には覚える必要はないでしょう。

【機序と理由】ツベルクリン反応の陰転化とは？意味を解説！

ツベルクリン反応とは結核菌由来の抗原を皮内注射し、48時間後の皮膚反応（発赤）を見る検査です。

皮膚反応（発赤）はT細胞によるⅣ型アレルギー（遅延型アレルギー）機序によるもので、

抗原に暴露され感作された（活性化された）Ｔ細胞がマクロファージを活性化させ、

活性化されたマクロファージはさらに炎症・線維化・肉芽腫形成といった反応によって生じます。

ツベルクリン反応は

• 発赤が10mm未満：陰性
• 発赤が10mm以上：陽性

と判断します。

ツベルクリン反応が陽性となるのは、

• 結核感染（または既往）
• 非結核性抗酸菌症（または既往）
• BCG接種

の3パターンあります。

ツベルクリン反応の国家試験的なポイントは

• ①多くの人がBCG接種を行っているためツベルクリン反応は通常陽性
• ②ツベルクリン反応ではBCG接種と結核と非結核性抗酸菌症を区別できない

の2点です。

逆に、多くの人が通常ツベルクリン反応陽性のため、ツベルクリン反応が陰転化する疾患が重要になってきます。

ツベルクリン反応の陰転化とは？

ツベルクリン反応が陰転化する理由は「細胞性免疫の低下」です。

リンパ系疾患
：悪性リンパ腫（Hodgkinリンパ腫・Non-Hodgkinリンパ腫）・CLL慢性リンパ性白血病

リンパ系疾患ではリンパ球（T細胞・B細胞・NK細胞）の成熟障害が生じ、機能が低下しているため、

Ⅳ型アレルギー（遅延型アレルギー）機序が機能せず（＝細胞性免疫低下）、

ツベルクリン反応陰転化が起こります。

CD4陽性Tリンパ球感染
：HIV感染（AIDS）・HTLV-1感染（ATL成人T細胞白血病リンパ腫）

HIVやHTLV-1はCD4陽性Tリンパ球に感染することが知られており、

CD4陽性Tリンパ球（ヘルパーT細胞）の数の減少と機能障害により（＝細胞性免疫低下）、

ツベルクリン反応陰転化が起こります。

T細胞障害
：麻疹

麻疹では白血球減少とT細胞障害が生じ（＝細胞性免疫低下）、ツベルクリン反応陰転化が起こります。

高度局所炎症性の肉芽腫形成疾患
：過敏性肺炎（過敏性肺臓炎）・サルコイドーシス・重症結核（重症肺結核・粟粒結核・結核性髄膜炎）

高度局所炎症性の肉芽腫形成疾患では、局所の炎症部位に免疫細胞が集まってしまい、

Ⅳ型アレルギー（遅延型アレルギー）機序を引き起こすための免疫細胞が手薄になり（＝局所の細胞性免疫低下）、

ツベルクリン反応陰転化が起こります。

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終わりに

お疲れさまでした。参考になれば幸いです。