ワルファリンの薬効モニタリングがAPTTではなくて
PT-INRで管理される理由・機序を教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
今回は理由と機序を解説します。
覚え方・ゴロは別記事を参照してください↓↓↓
なぜワルファリンはPTでなくPT-INR?PT延長の理由と機序
結論:ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子の合成を拮抗阻害し、
その中で半減期が最も短い第ⅤⅡ凝固因子が最初に低下し、
第ⅤⅡ凝固因子、つまり外因系が異常となり、
外因系を反映する検査がPT(PT-INR)が延長するから。
ワルファリンはビタミンKと構造が似ているため、ビタミンKと拮抗し、ビタミンK依存性凝固因子である
- 2:第Ⅱ凝固因子
- 9:第ⅠⅩ凝固因子
- 7:第ⅤⅡ凝固因子
- 10:第Ⅹ凝固因子
の合成を阻害します。
この中で半減期が最も短いのが7:第ⅤⅡ凝固因子であり、ワルファリンを投与後、最初に低下する因子です。
他の凝固因子の半減期とも比較してみましょう。
ビタミンK依存性凝固因子以外とも比べても
7:第ⅤⅡ凝固因子の半減期はとても短いですね。
つまり、ワルファリン投与時に
- 7:第ⅤⅡ凝固因子は低下しているが、その他の凝固因子は低下していない状態
が出来上がります。
このとき、APTTとPT(PT-INR)はどうなるでしょうか?
『7:第ⅤⅡ凝固因子は低下しているが、その他の凝固因子は低下していない状態』では、
- 外因系のみが異常であり、外因系凝固経路を反映する検査であるPT(PT-INR)が延長
- 内因系と共通系は正常なので、内因系凝固経路を反映する検査であるAPTTは正常
となります。
もちろん、時間の経過とともに凝固因子が半減期の短い順番に9→10→2と低下していくので、APTTにも変化が現れますが、
「変化(減少)の割合が最も大きい7:第ⅤⅡ凝因子が最も敏感にワルファリンの影響を反映している」という点がポイントになります。
したがって、ワルファリンの薬効モニタリングにはAPTTではなくPT(PT-INR)を用います。
同様の理由で肝障害が起こる疾患の評価にはPTが用いられます。
(肝障害→半減期の短い第ⅤⅡ凝固因子が減少→PT延長)
急性肝炎の重症度評価や劇症肝炎の診断基準はAPTTではなくPTです!
理由・機序を理解した上で覚え方・ゴロもチェックすると
知識が身に着きます。
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終わりに
【二次止血】凝固関連の知識の覚え方・ゴロを総まとめしました!
体系的に知らないと差がつくポイントを覚えましょう!
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お疲れさまでした。
参考になれば幸いです。
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