多発性骨髄腫の特徴の覚え方・ゴロを教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
病態・機序を分かりや解説し、
関連する覚え方・ゴロをまとめました。
多発性骨髄腫とは?病態と機序を分かりやすく解説【覚え方・ゴロ】
覚えることはただ一つ、
- 多発性骨髄腫は形質細胞が異常増殖する疾患
です。
多発性骨髄腫の名前の通りに、骨髄で形質細胞が異常増殖します。
また、形質細胞はB細胞の成熟細胞であり、免疫グロブリン(抗体)を生産する働きがあります。
つまり、
- ①形質細胞が骨髄で増殖&骨に浸潤
- ②免疫グロブリンが大量に生産される
という2つ病態で考えると全て導けます。
【多発性骨髄腫の病態と機序】
①形質細胞が骨髄で増殖&骨に浸潤
なぜ多発性骨髄腫で汎血球減少(貧血)・椎体圧迫骨折?
形質細胞が骨髄を占領し始めると、正常幹細胞の造血の場所がなくなり汎血球減少をきたします。
cf. 【鑑別まとめ】なぜ汎血球減少?定義と原因疾患の覚え方・ゴロ【国試対策】
形質細胞は破骨細胞活性化因子を放出し骨融解を起こすので、椎体圧迫骨折が起こりやすくなります。
「高齢者の腰背部痛」は多発性骨髄腫のキーワードです!
破骨細胞活性化因子は椎体だけでなく、頭蓋骨も骨融解を起こし、
頭部X線で骨打ち抜き像(punched put lesion)が見られます。
ちなみに、骨髄穿刺の穿刺部位として腸骨や胸骨がありますが、
胸骨は薄く骨折や深部の構造を損傷し血管損傷や心タンポナーデなどの合併症があるため、
骨髄穿刺の第一選択は腸骨(上後腸骨棘)です。
胸骨の方が皮下から近く穿刺しやすいですが、
多発性骨髄腫ではより胸骨骨折が起こりやすいので、骨髄穿刺は腸骨で行います。
なぜ多発性骨髄腫で高カルシウム血症・倦怠感・多尿?
こういった骨融解が活性化されている状態では、骨からカルシウムが溶け出し、高カルシウム血症になります。
高カルシウム血症の症状として、
- 筋力低下
- 便秘・悪心・嘔吐・食欲不振
- うつ状態・せん妄・意識障害・傾眠傾向・昏睡
- 倦怠感・易疲労感・易刺激性(イライラ・怒りやすい)
があります。
cf. なぜ高カルシウム血症で筋力低下・嘔吐・便秘・倦怠感?覚え方・ゴロ
また、高カルシウム血症では腎性尿崩症が起こるため、多尿が特徴になります。
cf. なぜリチウム・カリウム・カルシウムで腎性尿崩症?原因の覚え方・ゴロ【電解質変化と薬剤】
【多発性骨髄腫の病態と機序】
②免疫グロブリンが大量に生産される
なぜ多発性骨髄腫で低アルブミン血症&β2ミクログロブリン高値?
多発性骨髄腫では1種類のみの免疫グロブリン(G)が大量に生産され、生産された蛋白をM蛋白と呼びます。
M蛋白の生産のために、アルブミン(A)の生産は抑制され(アルブミン低下)、A/G比は低下します。
ただし、β2ミクログロブリンはリンパ球に豊富に存在するタンパク質であり、
形質細胞もリンパ球(B細胞)の成熟細胞であるため、
多発性骨髄腫ではβ2ミクログロブリンに関しては上昇することが多いです。
多発性骨髄腫の病気分類では、アルブミン低値&β2ミクログロブリン高値は予後不良となっています。
β2ミクログロブリンとは?
MHCクラスⅠ(HLA抗原クラスⅠ)の受容体に結合しているペプチド。
赤血球を除く全身の細胞に存在するが、特に免疫細胞に多く、免疫応答に重要な役割を果たしている。
多発性骨髄腫や近位尿細管障害で上昇する。
なぜ多発性骨髄腫で赤沈亢進・赤血球連銭形成・過粘稠度症候群?
免疫グロブリンが増加すると電荷の関係で赤沈が亢進します。
詳しくはコチラ↓↓↓を参照してください。
同様の機序で、赤血球がつながって赤血球連銭形成や過粘稠度症候群が起こります。
赤血球連銭形成や過粘稠度症候群は多発性骨髄腫の他に原発性マクログロブリン血症でみられ、
むしろ、原発性マクログロブリン血症により見られやすい所見になります。
詳しくは別記事で解説します。
なぜ多発性骨髄腫で腎障害?
M蛋白の増加に伴い、M蛋白が尿細管や腎血管に詰まり、腎機能障害が生じます。
特に、Bence-Jones蛋白型ではBence-Jones蛋白がアミロイドとなり(アミロイドーシス)、
アミロイド腎症を起こします。
腎臓に関わらず、多発性骨髄腫の15%でアミロイドーシスを合併します。
以上をイラストにまとめると、下記のようになります(再掲)。
頭の中で導けるようになったら完璧です。
多発性骨髄腫の特徴と治療の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
病態の一部と治療薬の覚え方・ゴロを作ったので参考にしてみてください。
終わりに
お疲れさまでした。参考になれば幸いです。
『血液』の範囲の覚え方×ゴロ×イラストをまとめました!
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