肺扁平上皮癌の特徴・覚えるべきポイントが沢山あって覚えられない~
何か良い覚え方・ゴロを教えて欲しい。
こういった悩みを解決します。
本記事では肺扁平上皮癌の腫瘍マーカーや特徴(合併症・好発部位・喫煙の関連)を解説します。
ゴロでサクッと覚えちゃおう!
扁平上皮癌は英語で「squamous cell carcinoma」
肺扁平上皮癌の腫瘍マーカーの覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
覚え方①:扁平上皮癌がは英語で「squamous cell carcinoma」+「c」繋がりで連想
扁平上皮癌→squamous cell carcinoma = SCC
SCCのCからCYFRAを連想
覚え方②:扁平→薄っぺらくて弱そう→フラフラ→シフラ(CYFRA)!!!
したがって、肺扁平上皮癌の腫瘍マーカーは
- SCC
- CYFRA(「シフラ」って読みます。)
と分かります。
※CYFRA:cytokeratin 19 fragment(サイトケラチン19フラグメント)
扁平上皮ってケラチンが多いイメージ。
肺扁平上皮癌の2大合併症の覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
覚え方①:扁平上皮癌の「扁」の中に「P」が隠れている。
覚え方②:へんぺい→へんピー→「P」を思い出す。
P→PTH-rP産生による偽性副甲状腺機能亢進症
P→Pancoast症候群
とりあえず、扁平上皮癌と「P」を結び付けよう。
したがって、肺扁平上皮癌の合併症は
- PTH-rP産生による偽性副甲状腺機能亢進症
- Pancoast症候群(「パンコースト症候群」と読む。)
の2つを押さえましょう。
※PTH-rP:PTH-related protein:parathyroid hormone related protein(副甲状腺ホルモン関連蛋白)
PTH-rP産生による偽性副甲状腺機能亢進症
多くの扁平上皮癌(特に肺扁平上皮癌)はPTH-rPを生産します。
PTH-rPは副甲状腺ホルモン(パラトルモン)と同様の作用を持ち、
血中Caは増加・血中Pは減少となり、副甲状腺機能亢進症と同じ状態になります。
この副甲状腺機能亢進症の状態は、副甲状腺由来の本家PTH分泌によるものではなく、
腫瘍性のPTH-rPによるものなので、「偽性」副甲状腺機能亢進症と呼ばれます。
肺扁平上皮癌以外のPTH-rP生産腫瘍はゴロでまとめて覚えましょう。
HHM「腫瘍性液性因子性高カルシウム血症」とは?
※HHM:humoral hypercalcemia of malignancy、悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症とも。
HHM「腫瘍性液性因子性高Ca血症」は
- 腫瘍性→腫瘍が生産する
- 液性因子性→PTH-rPによって
- 高Ca血症→副甲状腺機能亢進症が起こり高カルシウム血症になる
という意味で、偽性副甲状腺機能亢進症と同義です。
Pancoast症候群
Pancoast症候群は肺尖部の腫瘍(「Pancoast腫瘍」という。)が
- ①頸部の交感神経節
- ②腕神経叢(上肢に分布する運動神経と感覚神経の神経叢)
- ③鎖骨静脈
を圧迫・障害する症候群です。
それぞれが障害されたときの症候を
軽くチェックしておこう。
Pancoast症候群のポイント
- ①頸部の交感神経節の障害によって、Horner症候群(患側顔面の発汗低下・縮瞳・眼瞼下垂)が見られる。
- ②腕神経叢の障害によって、上肢の痛み・しびれ・運動麻痺・筋委縮が見られる。
- ③鎖骨静脈の圧迫によって、上肢の浮腫が見られる。
間違えるポイント
「Pancoast症候群」では鎖骨下静脈の圧迫のため、
症状は患側のみ+上肢のみ(顔面の浮腫は見られない)ですが、
「上大静脈症候群」では上大静脈の圧迫のため、
症状は両側性で上半身(頭頚部・上肢)(顔面の浮腫がみられる)に生じます。
肺扁平上皮癌に多い「Pancoast症候群」と
肺小細胞癌に多い「上大静脈症候群」を区別して覚えよう。
cf. 上大静脈症候群とは?→肺小細胞癌の腫瘍マーカー・合併症・好発部位の覚え方・ゴロ【CBT・国試対策】
肺扁平上皮癌の好発部位と喫煙の関連の覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
扁平上皮癌・肺小細胞癌・肺腺癌・大細胞癌を
まとめて覚えたほうがコスパが良いので、
総まとめ記事に移行しました!
肺扁平上皮癌の胸部画像で無気肺・空洞形成が多い理由【覚え方】
扁平上皮癌では、他の小細胞癌や腺癌に比べて、無気肺・空洞形成が多いです。
その理由を理解すると暗記しないでも覚えられる!
順を追ってみてみよう。
上記の記事で『扁平上皮癌は中枢型肺癌で喫煙との関連が強い』と
覚えてから進もう。
扁平上皮癌の発生機序と無気肺
扁平上皮癌は中枢型、つまり肺門部の気管支(=メインの空気の通る道)から発生する癌です。
発生機序は、喫煙による慢性的な刺激によって、気管支の上皮が
- 多列繊毛上皮といった腺細胞→扁平上皮化生→悪性化→増殖する扁平上皮癌
と変化することで起こります。
つまり、本来の柔軟性のある(=柔らかい)多列繊毛上皮が
機械的刺激に強い(=硬い)重層扁平上皮に変化しているのです。
したがって、硬い腫瘍がメインの空気の通る道を閉塞するので、空気が通らず無気肺となります。
他の肺癌は腺細胞由来で柔らかいから、
気管支を閉塞しにくいってことか!
ちなみに、空気の通り道が閉塞すると、
そこで細菌が繁殖して閉塞性肺炎が起こったりするよ!
扁平上皮癌の空洞形成の発生機序
扁平上皮癌が増殖するにつれて、腫瘍の中心部に栄養が届きにくくなり、中心部の細胞は壊死し始めます。
この壊死した部分は後に経気道的に排出されたり、炎症細胞によって吸収され、空洞を形成します。
扁平上皮癌の角化細胞は他の癌の腺細胞より壊死しやすいため、
肺扁平上皮癌の画像所見として空洞形成が特徴的になります。
重層扁平上皮ってカラカラで乾燥してて
死んでる(壊死してる)イメージある!
死んだ部分が除去されて空洞形成なのね!
肺扁平上皮癌の喀痰細胞診でオレンジ色になる理由
扁平上皮癌=オレンジに染色って覚えてればいいので、
興味のない人はスルーしてください。
喀痰細胞診では基本的に「Papanicolaou染色(パパニコロウ染色)」を行います。
Papanicolaou染色では、
- ①ヘマトキシリンで核を(青紫~黒に見えることもある。)
- ②ライトグリーン・オレンジGで細胞質を
染色します。
分子量の大きさはオレンジG<ライトグリーンです。
普通の細胞(非角化細胞)では、細胞質が密ではなく空間があり、
粒子の大きいライトグリーンが入り込み、細胞質を薄い青緑に染色します。
粒子の小さいオレンジGは洗い流されてしまいます。
しかし、扁平上皮癌といった角化細胞では、角化のため空間が小さく、
粒子の大きいライトグリーンは細胞内に入らず、
粒子の小さいオレンジGのみで細胞質がオレンジに染まります。
したがって、肺扁平上皮癌といった角化が進んだ細胞では細胞質がオレンジに染まるのです。
終わりに
お疲れ様でした。
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