NAPスコアが低下する原因疾患の覚え方・ゴロを教えてほしい。
NAPスコアの原理やなぜ低下するのかを教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
本記事では試験で大切なキーワードであるNAPスコアについて解説し、
NAPスコアが低下する疾患の覚え方・ゴロを解説します。
ゴロでサクッと覚えちゃおう!
NAPスコアが低下する原因疾患の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
ほとんどの疾患でNAPスコアは上昇するので、
NAPスコアが低下する例外だけ覚えよう!
ゴロ:昼寝で夜2時に困る医学生
昼寝で→昼寝は英語でnap→NAPスコアが低下する原因疾患
夜→発作性夜間ヘモグロビン尿症PNH
夜2時に→AM2→AML急性骨髄性白血病(特にM2(8;21転座の急性骨髄性白血病分化型))
2時に→二次性赤血球増加症
困る→CML慢性骨髄性白血病
医学生→medical student→MDS骨髄異形性症候群
「寝落ちで夜2時に困る医学生」でもイイね!
寝(nap)落ち(減少・低下)
以上より、NAPスコアが低下する原因疾患は
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症PNH
- AML急性骨髄性白血病(特にM2(8;21転座の急性骨髄性白血病分化型))
- 二次性赤血球増加症
- CML慢性骨髄性白血病
- MDS骨髄異形性症候群
と分かります。
特に頻出な3疾患は「夜間に困る医学生」だよ!
夜間に→発作性夜間ヘモグロビン尿症
困る→CML
医学生→MDS
最低限、↓を覚えておけば良いと思います。
夜間に困る医学生でNAPスコア低下 ⇔ CML急性転化でNAPスコア上昇
NAPスコアが上昇する原因疾患の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
覚え方:NAPスコアが低下する原因疾患と対比して考える!
試験的にはNAPスコアが低下する疾患だけを覚えていればOKです。
NAPスコアが上昇する原因疾患は、
- 再生不良性貧血AA
- 多発性骨髄腫MM
- CML慢性骨髄性白血病の急性転化
- 類白血病反応(骨髄繊維症・重症感染症・悪性腫瘍・炎症)
- 真性赤血球増加症(一次性赤血球増加症)
があります。
類白血病反応とは?
類白血病反応とは、基礎疾患による二次的な反応によって末梢血所見が白血病に類似する病態です。
末梢血所見では白血球の著しい増加や幼若白血球が見られます。
- 骨髄繊維症:血液骨髄関門の破綻や髄外造血による
- 重症感染症・悪性腫瘍・炎症:サイトカインによる
これらをNAPスコアが低下する原因疾患と比較し、グルーピングすると下記のようになります。
汎血球減少をきたすPNH・MDSなのか?AA・MMなのか?
- NAPスコアが低下:発作性夜間ヘモグロビン尿症PNH・骨髄異形成症候群MDS
- ⇔NAPスコアが上昇:再生不良性貧血AA・多発性骨髄腫MM
cf. 【鑑別まとめ】なぜ汎血球減少?定義と原因疾患の覚え方・ゴロ【国試対策】
白血球増加をきたす急性骨髄性白血病なのか?類白血病反応なのか?
- NAPスコアが低下:AML急性骨髄性白血病(特にM2(8;21転座の急性骨髄性白血病分化型))
- ⇔NAPスコアが上昇:類白血病反応(骨髄繊維症・重症感染症・悪性腫瘍・炎症)
赤血球増加症が真性(一次性)なのか?二次性なのか?
- NAPスコアが低下:二次性赤血球増加症
- ⇔NAPスコアが上昇:真性赤血球増加症(一次性赤血球増加症)
CML慢性骨髄性白血病が通常の慢性期なのか?急性転化なのか?
- NAPスコアが低下:CML慢性骨髄性白血病(慢性期)
- ⇔NAPスコアが上昇:CML慢性骨髄性白血病の急性転化
以上より、大切なことは
「NAPスコアが低下する原因疾患のみを覚えて、他は対比してNAPスコアが上昇すると考える!」
ということです。
NAPとは?なぜNAPスコアが低下するのか?【原理・理由の考え方】
NAPスコア「好中球アルカリフォスファターゼスコア」:neutrophil alkaline phosphatase scoreとは、
その名の通り好中球の特殊顆粒に含まれるアルカリフォスファターゼALPを染色し、
陽性顆粒がない場合を0点、均等に密に分布する場合を5点とし、100個の好中球分を合計したスコアです。
最小値0~最大値500で、基準値は170~370です。
NAPスコアが低下する原理・理由は
まだ解明されいていないものも多いので
考え方を交えて記載します。
発作性夜間ヘモグロビン尿症PNHでNAPスコアが低下する理由・機序の考え方
発作性夜間ヘモグロビン尿症PNHとは、細胞膜に存在するGPIアンカー蛋白が欠損してしまう疾患です。
GPIアンカー蛋白は
- ①補体制御蛋白であるCD55とCD59
- ②アセチルコリンエステラーゼAchE
- ③アルカリフォスファターゼALP
を細胞膜に固定します。
したがって、GPIアンカー蛋白が欠損すると、①②③が固定されずに失われ、
- CD55とCD59欠損→補体活性化にて補体を制御できず血管内溶血
- AchE欠損→AchE活性低下
- ALP欠損→NAPスコア低下
となります。
AML急性骨髄性白血病(特にM2(8;21転座の急性骨髄性白血病分化型))で
NAPスコアが低下する理由・機序の考え方
NAPスコアを言い換えると
NAPスコア=生産できるALP÷成熟した好中球数
となります。
M2(8;21転座の急性骨髄性白血病分化型)では成熟した(分化した)好中球が腫瘍性に増加するので、
分母が増加し、ALPの生産は追い付かず、
NAPスコア=生産されたALP÷成熟した好中球数(顕著に増加)→NAPスコア低下と考えられます。
M2以外のAML急性骨髄性白血病AMLでもNAPスコアが低下する場合がありますが(低頻度)、
芽球の増加に加えて、稀に成熟した好中球が腫瘍性に増加し、低頻度でNAPスコアが低下すると考えればよいと思います。
CML慢性骨髄性白血病(慢性期)がNAPスコア低下で、
急性転化でNAPスコアが上昇する理由・機序の考え方
CML慢性骨髄性白血病では分化能が保たれていて、かつ好中球が腫瘍性に増殖するため、
NAPスコア=生産されたALP÷成熟した好中球(顕著に増加)→NAPスコア低下と考えられます。
そこで急性転化が生じると、分化障害による芽球比率の上昇=成熟好中球の減少となり、
NAPスコア=生産されたALP÷成熟した好中球(顕著に減少)→NAPスコア上昇と考えられます。
PNH | MDS | AA・MM | AML(M2) | 類白血病反応 | CML慢性期 | CML急性転化 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
生産できるALP | ↓ | ↓↓ | → | → | ↑↑ | → | → |
成熟した好中球数 | → | ↓ | ↓ | ↑↑ | ↑ | ↑↑ | ↓↓ |
NAPスコア | 低下 | 低下 | 上昇 | 低下 | 上昇 | 低下 | 上昇 |
覚えやすい考え方があったら是非教えてください!
終わりに
お疲れさまでした。
参考になれば幸いです。
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