仮面尿崩症の病態・機序について分かりやすく説明して欲しい。
こういった悩みを解決します。
本記事では
- ①コルチゾールとADHの拮抗作用・抑制作用
- ②仮面尿崩症の病態・機序
について解説します。
覚えるべきことは最小限にして解説するよ!
仮面尿崩症は英語で「masked diabetes insipidus」
「masked DI」と呼ばれる。
コルチゾールとADHの拮抗作用・抑制作用
- コルチゾール=糖質コルチコイドと同義。
- ADH:antidiuretic hormone=抗利尿ホルモン・バソプレシンと同義。
覚えるべきこと:「コルチゾール」 と 「ADH」は互いに逆の作用
コルチゾールとADHは拮抗する!?
そうだね!
「コルチゾール」VS「ADH」のイメージ
コルチゾールはADHの分泌を抑制します。
したがって、
- コルチゾール低下↓=ADH上昇↑=尿量減少
- コルチゾール上昇↑=ADH低下↓=尿量増加
という関係になります。
つまり、コルチゾールは尿量を増加させる「水利尿作用」があるわけです。
cf. 水利尿とは→【多尿の鑑別】中枢性・腎性尿崩症と心因性多飲症の負荷試験を解説
Sheehan症候群では
下垂体前葉からのACTH分泌低下
→コルチゾール低下→ADHが上昇
ってなるんだったね!
そうだね!
詳しくはコチラ↓↓↓
【なぜカリウム正常】Sheehan症候群の覚え方・ゴロ【CBT・医師国家試験対策】
仮面尿崩症の病態・機序【コルチゾールとADHの拮抗作用】CBT国試対策
仮面尿崩症とは、
中枢性尿崩症にコルチゾール分泌不全を合併していた場合、
コルチゾール分泌不全によって多尿が不顕性化する病態。
今から説明していきます!
①健常者
健常者では「コルチゾールの尿量増加作用」と「ADHの尿量減少作用」により、尿量が正常に保たれています。
増加+減少=正常ね!
②コルチゾール分泌不全+ADH分泌不全
- 『下垂体前葉障害(ACTH欠損)や副腎皮質不全によるコルチゾール分泌不全』
- 『下垂体後葉障害によるADH分泌不全』
の2つ同時に起こった場合、
「コルチゾール分泌不全による尿量減少」と「ADH分泌不全による尿量増加(中枢性尿崩症)」が
互いに打ち消し合って、尿量が正常に見えます。
減少+増加=正常に見えちゃうのか~
つまり、尿量は変わらないため、中枢性尿崩症の症状がマスクされ(隠され)てしまいます。
中枢性尿崩症がマスクされるから仮面尿崩症はmasked DIなんだね!
③副腎皮質ステロイド(コルチゾール)を投与
「コルチゾール分泌不全」+「ADH分泌不全」の状態に、
さらに副腎皮質ステロイド(コルチゾール)を投与すると、
「コルチゾールの尿量増加作用」+「ADH分泌不全による尿量増加(中枢性尿崩症)」となり、
尿量が増加して、中枢性尿崩症の症状が出てきます(顕在化)。
この一連の病態を「仮面尿崩症:masked DI」と言います。
マスクされていた中枢性尿崩症が、
コルチゾール投与に伴い、顕在化するんだね!
仮面尿崩症の医師国家試験での出題
【115回医師国家試験B問題48問目】
『下垂体腺腫が疑われる患者に「副腎皮質ステロイド補充開始後は尿崩症の出現に注意する」』→〇
という選択肢がありました。
仮面尿崩症の病態を知らないと少し迷うかもしれない問題です。
下垂体腺腫によって
- 前葉の圧迫→コルチゾール分泌不全
- 後葉が圧迫→ADH分泌不全(中枢性尿崩症)
になっている可能性があるので、
副腎皮質ステロイド投与で尿崩症の顕在化に気をつけるという問題でした。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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