腎性尿崩症って尿が沢山でる病気なのに、
なんで治療に利尿薬のサイアザイドを使うの?
何か良い覚え方ないの~?
こういった悩みを解決します。
本記事では、まず覚え方・ゴロを紹介し、
次にサイアザイド系利尿薬と腎性尿崩症の関係について説明します。
ゴロでサクッと覚えちゃおう!
腎性尿崩症の治療にサイアザイド系利尿薬の覚え方・ゴロ
ゴロ:人生最悪
人生→腎性尿崩症
最悪→サイアザイド系利尿薬
したがって、腎性尿崩症の治療には
- サイアザイド系利尿薬が有効
と分かります。
ここから先は国試に出る訳じゃないので、
興味ある人だけどうぞ~
【作用機序】なぜ?腎性尿崩症の治療にサイアザイド系利尿薬を使う理由
腎性尿崩症にサイアザイド系利尿薬を使う理由【まとめ】
- ①高ナトリウム血症を改善できる。
- ②RAS系亢進により近位尿細管の機能が活性化され最大50%の尿量減少が期待できる。
- ③対向流増幅系の水分再吸収不良を悪化させない。
①高ナトリウム血症を改善できる
腎性尿崩症では集合管でのADH反応性が低下するため、
水分が再吸収できず高ナトリウム血症になり、
中枢神経症状(頭痛、嘔吐、痙攣、倦怠感、意識障害、昏睡)に注意しないといけません。
この高ナトリウム血症の是正のためにサイアザイド系利尿薬を用います。
サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管のNa-Cl共輸送体を阻害することで利尿作用を発揮します。
したがって、Naを排泄することができます。
ループ利尿薬はサイアザイド系利尿薬と比べて作用時間が短く、
総ナトリウム排泄量は少ないため、サイアザイド系利尿薬の方が適切です。
高ナトリウム血症による昏睡は怖いね。
サイアザイド系利尿薬で生命予後に関わる病態を回避できるのね!
②RAS系亢進により近位尿細管の機能が活性化され最大50%の尿量減少が期待できる
サイアザイド系利尿薬による循環血液量減少では、
RAS系の亢進によって近位尿細管の機能が亢進することが知られています。
RAS系が亢進すると、アンジオテンシンⅡが生成されて輸出細動脈の選択的収縮により、
近位尿細管に到達する水分量が増え、近位尿細管の水の再吸収が増加します。
尿細管全体の水分再吸収の内、近位尿細管が70%を占め、最も代謝が盛んな部位であり、
循環血液量が減少している時は、脱水を是正しようと水分の再吸収が促進されます。
サイアザイド系利尿薬ではRAS系が亢進して、
水分が再吸収されるってことは、
利尿薬の降圧作用が弱くなっちゃわない?
そうだね。
降圧作用を減弱させないために、
高血圧の治療ではRAS系の阻害薬を併用するよ。
つまり『利尿薬+RAS系阻害薬(ACE阻害薬orARB)』みたいな感じ!
③対向流増幅系の水分再吸収不良を悪化させない
尿濃縮機序におけるヘンレのループと集合管の関係(対向流増幅系)は、
- ①ヘンレのループ(Henle上行脚)のNa-K-2Cl共輸送体により、髄質(間質)の浸透圧が上昇する。
- ②集合管にADHが作用することで水チャネルであるアクアポリンが発現する。
- ③集合管から髄質(間質)への濃度勾配に従って、水が移動する。
の3ステップです。
髄質の浸透圧が高い(濃度が濃い)ほど、
濃度勾配に従って水が移動しやすくなるのね。
ループ利尿薬ではヘンレのループ(間質の髄質に存在)のNa-K-2Cl共輸送体阻害により、
電解質を髄質(間質)に移動できないため、髄質(間質)の浸透圧が下がってしまい、
集合管と髄質(間質)の濃度勾配が減弱し、ADH反応性を低下させてしまいます。
サイアザイド系利尿薬は遠位尿細管、つまり皮質(間質)に作用するため、
髄質(間質)と関係なく、集合管と髄質(間質)の濃度勾配が正常なため、ADH反応性を低下させません。
(=対向流増幅系の水分再吸収不良を悪化させません。)
したがって、サイアザイド系利尿薬が適切なのです。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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