なぜ褐色細胞腫の第一選択がα遮断薬なの?
β遮断薬の単独投与が禁忌になる理由が知りたい。
こういった悩みを解決します。
本記事では褐色細胞腫にβ遮断薬を単独投与した場合どうなるか?の考察と
造影剤が原則禁忌になる理由を解説します。
β遮断薬はよくあるひっかけ選択肢だから気を付けよう。
【なぜα遮断薬?】褐色細胞腫にβ遮断薬単独投与が禁忌になる理由と機序
結論:β2受容体の遮断によって血管拡張が阻害され高血圧クリーゼをきたすから。
末梢血管のアドレナリン受容体は
- 血管平滑筋を収縮させて血圧を上げるα1受容体
- 血管平滑筋を弛緩させて血圧を下げるβ2受容体
があります。
β遮断薬を単独投与した場合、
- ①まず、β2受容体が遮断され血管拡張が阻害されます。
- ②次に、β受容体に作用して分解されるはずのカテコールアミンがα受容体に作用します。
①+②のダブルパンチによって、
高度に血圧が上昇し、臓器障害の原因になる高血圧クリーゼ(褐色細胞腫クリーゼ)を引き起こす危険があります。
健常人:β遮断薬→心拍数低下→血圧低下
大量にカテコラミンがあるわけではないので、α受容体に作用するカテコラミンは少ない。
褐色細胞腫:β遮断薬
→心拍数は低下するが
β受容体に結合するはずだった大量のカテコラミンがα受容体に作用してしまう
→心拍数低下による血圧低下作用より末梢血管収縮による血圧上昇作用の方が大きくなる
→高血圧悪化→高血圧クリーゼ(褐色細胞クリーゼ)
したがって、β遮断薬の単独投与は禁忌になります。
褐色細胞腫では、
- 第一選択はα遮断薬による降圧
- 降圧が不十分な場合、カルシウム拮抗薬を追加
- 頻脈・不整脈といったβ1症状があった場合はβ遮断薬を追加
という流れになります。
褐色細胞腫にヨード造影剤が原則禁忌の理由
褐色細胞腫の患者にヨード造影剤を投与した場合、
アレルギー反応によって大量のヒスタミンが放出され、
さらにカテコールアミン産生が増え高血圧クリーゼを引き起こす危険があります。
したがって、褐色細胞腫にヨード造影剤は原則禁忌です。
ちなみに、文書による同意や高血圧クリーゼに対応できる状態(十分な降圧薬・血圧・心電図モニター)があれば、
造影剤の使用が許されているので、絶対禁忌ではなく原則禁忌となっています。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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