基礎医学から臨床まで幅広く登場する
ステロイドの生合成経路について教えて欲しい。
こういった悩みを解決します。
本記事ではステロイド代謝マップを簡略化して、CBT・国家試験対策用に作り直しました。
ステロイド代謝マップと疾患を結び付けてポイントを押さえましょう。
コスパ良く勉強しよう!
ステロイド代謝マップの書き方・覚え方・ゴロ【副腎皮質ホルモン合成経路】
①全体像をイメージする。
ステロイド代謝マップは動物のシルエットに似ています。
まずは紙に3本線を引いて、動物のシルエットを完成させましょう。
②球状層・束状層・網状層と生産物を書く。
↑より、
副腎皮質ホルモンは外側から内側にかけて、
- 球状層:アルドステロン(鉱質コルチコイド・ミネラルコルチコイド)
- 束状層:コルチゾール(糖質コルチコイド・グルココルチコイド)
- 網状層:アンドロゲン(男性ホルモン・テストステロン)
と分かります。
※追加説明※
- 鉱質コルチコイドの代表がアルドステロン
- 糖質コルチコイドの代表がコルチゾール
- 男性ホルモンの総称がアンドロゲンで、具体例はテストステロン・ジヒドロテストステロンなどがある。
図中のDHEAは末梢組織でテストステロンに変換されるので、
DHEA=男性ホルモンの一種(テストステロンの前駆体)という理解で十分です。
一緒に書いてみよう!
したがって、動物のシルエットの左から右にかけて、
- 前足に「球状層(鉱質コルチコイド系)→アルドステロン」
- 後足に「束状層(糖質コルチコイド)→コルチゾール」
- 尻尾に「網状層(アンドロゲン系)→DHEA(テストステロン)」
を書き込みましょう。
③酵素・中間生成物・代謝産物を書く。
覚えるべき酵素
酵素として必ず覚えないといけないのは
- 17α-水酸化酵素(17α-OHlase)
- 21-水酸化酵素(21-OHlase)
の2種類です。
17α-水酸化酵素(17α-OHlase)と21-水酸化酵素(21-OHlase)は、
先天性副腎皮質過形成という疾患で欠損する酵素であり、酵素が働く場所も一緒に覚えないといけません。
この酵素の作用部位の違いによって17α-水酸化酵素欠損症と21-水酸化酵素欠損症の症状が異なってきます。
必ず覚えましょう。
先天性副腎皮質過形成については後述します。
混同しやすいので覚え方を紹介します。
覚え方:作用する場所の個数と酵素の数字の1文字目は一致する。
この覚え方で17α-水酸化酵素と21-水酸化酵酵素の区別が
つくようになりました。
つまり、図中の
- 「プロゲステロン→17-OHプロゲステロンの過程」の1か所に働くのが、17α-水酸化酵素
- 「プロゲステロン→アルドステロンの過程」と
「17-OHプロゲステロン→コルチゾールの過程」の2か所に働くのが21-水酸化酵素
と分かります。
一緒に書いてみよう!
したがって、動物のシルエットに
- 胴体に作用する→17α-水酸化酵素
- 前足+後足に作用する→21-水酸化酵素
を書き込みましょう。
実際には他にも作用する部位がありますが、
この覚え方で支障は出ません。
覚えるべき中間生成物
中間生成物として必ず覚えないといけないのは
- プロゲステロン
- 17-OHプロゲステロン
- DOC:デオキシコルチコステロン
の3種類です。
プロゲステロンはアルドステロン・コルチゾール・DHEA(テストステロン)といった生成物すべての前駆体です。
「プロ」の意味は「前」なので、すべての前駆体になるイメージで動物のシルエットの首に書き込みましょう。
「pro」の例 )
promotion(意味:促進・昇進)=pro(前に)motion(動かす)
prologue(意味:前置き)=pro(前の)logue(ログ=記録)
プロゲステロンが17α-水酸化酵素によって水酸化されたのが、17-OHプロゲステロンです。
動物のシルエットの後足と尻尾の付け根に書き込みましょう。
プロゲステロンが21-水酸化酵素によって水酸化されたのが、DOC:デオキシコルチコステロンです。
デオキシコルチコステロンとアルドステロンの「ステロン」が似ているので覚えやすいです。
動物のシルエットの前足の途中に書き込みましょう。
覚えるべき代謝産物
代謝産物として必ず覚えないといけないのは
- 17-OHCS
- 17-KS
- DHEA-S
の3種類です。
糖質コルチコイド系の代謝産物が17-OHCS、
アンドロゲン系の代謝産物が17-KS・DHEASです。
覚え方・ゴロ・解釈については別記事で紹介します。
④疾患と結び付ける。
ステロイド代謝マップは細かな所でも役に立ちますが、疾患的には
- クッシング症候群(Cushing症候群)
- アジソン病(Addison病)
- 偽性アルドステロン症
- 先天性副腎皮質過形成
と結び付けておくと役に立ちます。
ステロイド代謝マップの応用【副腎皮質ホルモン合成経路】
以上をまとめると上記のイラストになります。
クッシング症候群(Cushing症候群)
アジソン病(Addison病)
アジソン病(Addison病)といった副腎皮質機能低下症では、
ACTH試験で血中コルチゾールと尿中17-OHCSが無反応になります。
(通常は血中コルチゾールも尿中17-OHCSも増加する。)
偽性アルドステロン症
「腫瘍が生産するDOC:デオキシコルチコステロン」によって偽性アルドステロン症が起こることが知られています。
先天性副腎皮質過形成
ステロイド代謝マップと酵素の作用部位を覚えていると、
- 17α-水酸化酵素欠損にてアルドステロン増加・コルチゾール減少・テストステロン減少
- 21-水酸化酵素欠損にてアルドステロン減少・コルチゾール減少・テストステロン増加
と分かります。
詳しくは小児科で解説予定。
終わりに
お疲れ様でした。
参考になれば幸いです。
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