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【アルドステロン症の鑑別】原因と血圧-ナトリウム-カリウムの覚え方・ゴロ

【アルドステロン症の鑑別】原因と血圧-ナトリウム-カリウムの覚え方・ゴロ
悩む人

アルドステロン症って
高血圧・高ナトリウム血症・低カリウム血症になると思ってたけど、
なんで例外があるの?

こういった悩みを解決します。

本記事では

  • 原発性アルドステロン症
  • 続発性アルドステロン症
  • 偽性アルドステロン症

の3種の鑑別疾患と、血圧・血中ナトリウム・血中カリウムについて解説します。

目次:クリックで飛べます。

原発性-続発性-偽性アルドステロン症の鑑別【CBT国試対策】

【原発性-続発性-偽性アルドステロン症の鑑別】原因疾患と血圧-ナトリウム-カリウムの覚え方・ゴロ
  • 原発性アルドステロン症
  • 続発性アルドステロン症
  • 偽性アルドステロン症

の鑑別は

  • 血中レニン・アルドステロンAld濃度
  • レニン分泌刺激試験(立位フロセミド試験・カプトプリル試験)

で行います。

ちなみに、原発性アルドステロン症の確定診断には、レニン分泌刺激試験以外に

  • 生理食塩水負荷試験・経口食塩負荷試験

が用いられます。

血中レニン・アルドステロンAld濃度
レニン分泌刺激試験(立位フロセミド試験・カプトプリル試験)とは?

疾患Aldレニンレニン分泌刺激試験
原発性アルドステロン症上昇低下
=抑制されている
無反応
=レニンは低値のまま
続発性アルドステロン症
(腎血管性高血圧症)
上昇上昇
=促進されている
過剰反応(亢進)
=レニン分泌がさらに上昇
偽性アルドステロン症
(グリチルリチン製剤等)
低下低下
=抑制されている
無反応
=レニンは低値のまま
レニン分泌刺激試験と疾患

原発性アルドステロン症は

  • ①アルドステロン分泌
  • ②レニン抑制

続発性アルドステロン症は

  • ①レニン分泌
  • ②アルドステロン分泌

偽性アルドステロン症は

  • ①生体内にもともとあるアルドステロン以外のアルドステロン作用
  • ②本家アルドステロンとレニンは抑制

という違いがあるので、まず血中レニン・アルドステロン濃度を測定します。

さらに、上記の流れを利用して確定診断するために用いられるのが「レニン分泌刺激試験です。

レニン分泌刺激試験には

  • 立位フロセミド試験
  • カプトプリル試験

があります。

詳しくはコチラ↓を参照してください。

生理食塩水負荷試験・経口食塩負荷試験とは?

立位フロセミド試験やカプトプリル負荷試験は「レニン分泌刺激試験」と呼ばれました。

逆に、生理食塩水負荷試験・経口食塩負荷試験は「レニン分泌抑制試験=アルドステロン抑制試験」です。

健常人の生理食塩水負荷試験・経口食塩負荷試験では

循環血液量の増加→腎血流の増加→レニン分泌抑制が生じます。

これによってアルドステロン分泌が抑制されます。

しかし、原発性アルドステロン症ではレニン分泌がもともと抑制されていて、自律的なアルドステロン分泌があるので、

生理食塩水負荷試験・経口食塩負荷試験を行ってもアルドステロン分泌が抑制されません。

原発性-続発性-偽性アルドステロン症の原因疾患と血圧-ナトリウム-カリウム

【原発性-続発性-偽性アルドステロン症の鑑別】原因疾患と血圧-ナトリウム-カリウムの覚え方・ゴロ

原発性アルドステロン症の原因疾患と血圧-ナトリウム-カリウム

原発性アルドステロン症の原因は

  • 75%最多:片側性アルドステロン産生腺腫
  • その他:両側性副腎過形成による特発性アルドステロン症

です。

アルドステロン症の典型的な高血圧低カリウム血症が生じます。

高血圧に伴う頭痛や、低カリウム血症に伴う代謝性アルカローシス・周期性四肢麻痺・テタニーが特徴的です。

続発性アルドステロン症の原因疾患一覧と血圧-ナトリウム-カリウム

続発性アルドステロン症の原因は

  • 腎動脈系の狭窄を生じる疾患
  • 交感神経β刺激を生じる疾患
  • 循環血液量減少を生じる浮腫性疾患
  • 低Cl刺激を生じる尿細管疾患

の4種類に分類して考えると見通しが良いです。

【腎動脈系の狭窄を生じる疾患

腎動脈系の狭窄を生じる疾患はさらに、腎大血管病変と腎細小動脈病変に分けられます。

腎大血管病変

腎大血管病変=腎動脈の狭窄によって腎血流が低下し、

レニン分泌が亢進する疾患で、

  • 腎血管性高血圧(動脈硬化・高安動脈炎(大動脈炎症症候群)・繊維筋性異形成)

が含まれます。

腎細小動脈病変

腎細小動脈病変=腎内部の動脈の狭窄によって腎血流が低下し、

レニン分泌が亢進する疾患で、

  • 腎硬化症

が含まれます。

ハレル

頭の中で部位ごとの疾患一覧を作るイメージで進もう。

悩む人

太い腎動脈の狭窄が腎血管性高血圧で、
細い腎動脈の狭窄が腎硬化症ね。

  • 腎血管性高血圧(動脈硬化・高安動脈炎(大動脈炎症症候群)・繊維筋性異形成)
  • 腎硬化症

もアルドステロン症の典型的な高血圧・低カリウム血症を生じます。

【交感神経β刺激を生じる疾患

交感神経β刺激を生じる疾患の典型例が、

  • 褐色細胞腫

です。

交感神経β刺激はレニン分泌刺激の1つなので、

褐色細胞腫での慢性的なβ刺激はレニン分泌促進による続発性アルドステロン症を起こします。

慢性的なβ刺激と記載した理由は、褐色細胞腫は常に交感神経物質を出しているわけではないからです。

発作性に交感神経刺激が強まる場合は末梢血管収縮による血圧上昇がありますが、

レニン分泌に反映されるまでに時間がかかるので、通常は電解質に影響が出ません(血中カリウム正常)。

【循環血液量減少を生じる浮腫性疾患

循環血液量減少を生じる浮腫性疾患とは、

「循環血液量減少→腎血流低下→レニン分泌亢進」という流れで起こる続発性アルドステロン症です。

機能低下によって循環血液量減少+浮腫が起こる臓器といえば「心・肝・腎」が有名です。

特に、

  • 心不全
  • 肝硬変
  • ネフローゼ症候群

の3種は必ず覚えましょう。

ハレル

この3種は腎前性腎不全の原因としても重要!

心不全で続発性アルドステロン症になる機序

心不全は心臓のポンプ機能が破綻した状態(心拍出量が減少した状態)です。

心臓のポンプ機能が破綻すると、うっ血が起こり静脈内の静水圧が上昇します。

静水圧の上昇に伴い血管内から間質(血管外組織)へ水分が移動し、

浮腫+循環血液量減少が起こります。

以上より、

  • ①心拍出量減少による腎血流の低下
  • ②循環血液量減少による腎血流の低下

の2通りでレニン分泌が亢進します。

肝硬変・ネフローゼ症候群で続発性アルドステロン症になる機序

肝硬変ではアルブミン生産量が減少し、ネフローゼ症候群では尿中へアルブミンが消失します。

したがって、肝硬変とネフローゼ症候群は共に低アルブミン血症を生じます。

低アルブミン血症では膠質浸透圧が低下するため、血管内から間質(血管外組織)へ水分が移動し、

浮腫+循環血液減少が起こります。

以上より、循環血液量減少による腎血流の低下が起こり、レニン分泌が亢進します。

【続発性アルドステロン症】
心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群で高血圧が起こらない理由

基本的にアルドステロン症は高血圧+低カリウム血症が特徴的な疾患です。

したがって、心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群で生じる続発性アルドステロン症でも血圧が上昇すると思うのも分かります。

しかし、心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群では高血圧にはなりません。

理由は、

  • 「心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群の続発性アルドステロン症は
     フィードバックによるものだから」

です。

心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群はもともと血圧が低下傾向であり、

フィードバックで低下~正常にまで補正することは可能ですが、

原則としてフィードバックがもとの血圧低下傾向を上回り、高血圧に至ることはありません。

ハレル

医師国家試験【112C24】で
「肝硬変は高血圧をきたさない」という知識が出題されている。

ハレル

浮腫性疾患「心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群」は
高血圧をきたさない、と覚えておこう。

【低Cl刺激を生じる尿細管疾患

低Cl刺激を生じる尿細管疾患として

  • Bartter症候群
  • 偽性Bartter症候群
  • Gitelman症候群

の3種を覚えましょう。

※偽性Bartter症候群は利尿薬乱用で起こるBartter症候群。

Bartter症候群・偽性Bartter症候群・Gitelman症候群ではClの再吸収ができず、低Cl血症が起こります。

低Cl刺激はレニン分泌刺激の1つであるので、続発性アルドステロン症が生じます。

Bartter症候群・偽性Bartter症候群・Gitelman症候群のポイントは

  • 血圧正常
  • 血中ナトリウム濃度正常
  • 血中カリウム濃度低下

です。

詳しくはコチラを参照してください。

偽性アルドステロン症の原因疾患一覧と血圧-ナトリウム-カリウム

偽性アルドステロン症の原因は

  • Liddle症候群
  • DOC:デオキシコルチコステロン
  • グリチルリチン製剤(漢方:芍薬甘草湯・肝庇護薬)

の3種を押さえましょう。

偽性アルドステロン症では、血中レニン・アルドステロンが低値にも関わらず

アルドステロン症の典型的な高血圧低カリウム血症が生じます。

Liddle症候群

DOC:デオキシコルチコステロン

DOC:デオキシコルチコステロンとは、アルドステロン作用のある物質です。

ステロイド代謝マップで出てきた物質で、球状層で生産されます。

ステロイド代謝マップで活躍する酵素の障害や、腫瘍産生性によってDOCは増加します。

グリチルリチン製剤(芍薬甘草湯・肝庇護薬)

偽性アルドステロンとして多いのが薬剤性です。

アルドステロン症状(高血圧・頭痛・低カリウム血症・周期性四肢麻痺)ときたら副薬歴の確認が大切です。

おまけ:Cushing症候群でも高血圧・低カリウム血症になる

偽性アルドステロン症と同じく、低レニン・低アルドステロン+高血圧・低カリウム血症が生じます。

理由・機序についてはコチラ↓で解説しています。

終わりに

お疲れ様でした。

参考になれば幸いです。

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