BUNが高値の時は何を考えればいいの?
こういった悩みを解決します。
本記事では、BUNが高値となる原因を3パターンに分け、覚えやすくしました。
さらに、それぞれのパターンでBUNが高値となる機序について詳しく説明します。
今後に役立つ考え方・覚え方を紹介するよ。
本記事のまとめ
- BUNはタンパク質の分解で生じる。
- BUN高値の原因には①摂取量が多い②タンパク質分解亢進③排出量が少ないの3パターンで考える。
- BUN:blood urea nitrogen(尿素窒素)
BUNとは?【尿素窒素BUN高値の原因と考え方】
BUNは尿素窒素とよばれ、血中の尿素(CO(NH2)2)に含まれる窒素(N)の量を表します。
基準値は8.0~20.0mg/dlです。
基準値の覚え方はコチラで解説しております。
BUNはタンパク質の代謝によって生じます。(詳しくは後述。)
BUNは糸球体で濾過されますが、完全に排出されず、半数は再吸収されます。
クレアチニンは再吸収されないけど、BUNは再吸収される。
BUNが高値となる原因として、
- ①摂取量が多い(消化管出血・高タンパク食・高カロリー輸液)
- ②タンパク質分解が亢進(副腎皮質ステロイドによる異化亢進)
- ③排出量が少ない(腎前性腎不全(脱水・嘔吐・下痢・熱傷・出血・心不全・肝不全)・慢性腎不全)
の3パターンで考えると見通しが良いです。
尿素窒素BUN高値の原因【なぜ消化管出血・心不全で高値?】国試対策
【BUN高値】①摂取量が多い
- 消化管出血
- 高タンパク食・高カロリー輸液
消化管出血では、血液に含まれるヘモグロビンというタンパク質が消化管から吸収され、肝臓に運ばれます。
大量出血によって、
通常より多くのタンパク質が門脈を通り肝臓に行くわけだね。
タンパク質はアミノ酸に分解され、さらに分解されるとアンモニアを生じます。
アンモニアは有毒なので、尿素回路urea cycleで毒性の少ない尿素に変換されます
したがって、消化管出血で尿素窒素が高値となるのです。
高タンパク質・高カロリー輸液ではタンパク質の摂取量が増えるため、
同様の経路でタンパク質の代謝が増え、BUNが高値となります。
消化管出血には「Mallory-Weiss症候群」、
「食道・胃静脈瘤の破裂」、「消化管腫瘍」などがあるね。
正確には上部消化管出血+小腸出血でBUNが高値となる話
「消化管出血ではBUNが高値となる」と記載しましたが、
実際には上部消化管出血と小腸出血でBUNが高値となります。
(=下部消化管出血ではBUNは高値となりにくい。)
理由として、タンパク質は小腸で吸収されるため、
それよりも下部の出血ではタンパク質が吸収されないからです。
【BUN高値】②タンパク質分解が亢進
- 副腎皮質ステロイドによる異化亢進
副腎皮質ステロイドには、タンパク質を分解する作用(異化作用)があるので、
タンパク質の摂取量が増えてなくてもBUNが高値となります。
【BUN高値】③排出量が少ない
- (急性)腎前性腎不全(脱水・嘔吐・下痢・熱傷・出血・心不全・肝不全)
- 慢性腎不全
(急性)腎前性腎不全において、
- 脱水・嘔吐・下痢では体外へ水分が消失するため循環血液量が減少。
- 熱傷では血管透過性亢進(炎症性サイトカインによって血管壁の孔が拡大)によって、
間質に水分が移動することで循環血液量が減少。
- 心不全では心拍出量低下とそれに伴う間質への水の移動(浮腫)によって、循環血液量が減少。
- 肝不全では低アルブミン血症による間質への水の移動(浮腫)によって、循環血液量が減少。
といった機序により、循環血液量減少から腎血流量の減少が起こります。
腎血流が低下すると、BUNの再吸収が亢進し(排出量低下)、BUN高値となります。
慢性腎不全(高度腎障害)では、そもそも濾過が出来ず、
排出量が低下し体内に溜まっていくため、BUN高値となります。
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終わりに
お疲れ様でした。
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