造血器腫瘍って沢山種類があって関係性が分からない!
それぞれの違いと分類をまとめてほしい。
こういった悩みを解決します。
本記事では造血器腫瘍である
- 急性骨髄性白血病(AML)
- 急性リンパ性白血病(ALL)
- 真性赤血球増加症(PV)
- 慢性骨髄性白血病(CML)
- 本態性血小板血症(ET)
- 原発性骨髄線維症(PMF)
- 慢性リンパ性白血病(CLL)
- 悪性リンパ腫
- 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
- 多発性骨髄腫(MM)
- 骨髄異形成症候群(MDS)
について病態ごとに違い・分類をまとめていきます。
頭の中を整理していこう!
造血器腫瘍とは?3パターンに分けて考えよう!【CBT国試対策】
造血器腫瘍とは血液細胞が増殖する疾患です。
一般的には、骨髄系腫瘍とリンパ系腫瘍の2つに分類されます。
【骨髄系腫瘍】
- 急性骨髄性白血病(AML)
- 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
- 骨髄異形成症候群(MDS)
【リンパ系腫瘍】
- 急性リンパ性白血病(ALL)
- 慢性リンパ性白血病(CLL)
- 悪性リンパ腫
- 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
- 多発性骨髄腫(MM)
この分類では、腫瘍が「骨髄系由来なのか?リンパ系由来なのか?」は分かりますが、
それぞれの腫瘍の病態が分かりにくいです。
そこで、病態の違いを3パターンに分けて分類し、頭の中を整理していきましょう。
造血器腫瘍の多々ある疾患のイメージを作っていこう!
血液細胞は大きく分けると造血幹細胞・幼若細胞・成熟細胞の3種類あり、
3種類の中でどれが異常に増殖するかによって分類されます。
造血器腫瘍の代表は
- ①急性白血病
(急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病) - ②骨髄増殖性腫瘍
(真性赤血球増加症(PV)・慢性骨髄性白血病(CML)・本態性血小板血症(ET)・原発性骨髄線維症(PMF)) - ③慢性リンパ性白血病・悪性リンパ腫・成人T細胞白血病/リンパ腫・多発性骨髄腫
の3つのパターンに分けられます。
※骨髄異形成症候群は「異形成」なので正常でも腫瘍でもない細胞が増殖します。後述します。
3パターンの違いに注目して整理していこう!
①急性白血病(AL:acute leukemia)とは?【CBT国試対策】
急性白血病とは・・・
造血幹細胞の遺伝子変異(染色体異常)によって生じた幼若細胞が成熟細胞に分化できにず(分化能なし)、
幼若細胞が増殖し、成熟細胞が減少する病態です。
造血幹細胞に遺伝子変異(染色体異常)はありますが増殖せず、増殖するのは幼若細胞のみです。
急性白血病のAMLとALLの特徴は「分化能がない」ことで、他の疾患と比べて幼若細胞の増殖が顕著です。
急性白血病は
- 急性骨髄性白血病(AML)
- 急性リンパ性白血病(ALL)
に分けられます。
急性前骨髄性白血病(M3:APL:acute promyelocytic leukemia)で例えると、
となります。
cf. APL急性前骨髄性白血病の特徴-病理-遺伝子-治療薬-DIC合併の覚え方・ゴロ
幼若細胞(芽球)のみ増えるのが急性白血病!
異常造血幹細胞は増殖せず、成熟細胞は減少する!
幼若細胞を一般に「芽球」と呼び、特に腫瘍性に増殖した幼若細胞を芽球と呼ぶことが多いです。
②骨髄増殖性腫瘍(MPN:Myeloproliferative neoplasms)とは?【CBT国試対策】
骨髄増殖性腫瘍とは・・・
造血幹細胞の遺伝子変異(染色体異常)によって生じますが、
異常造血幹細胞が増殖することで幼若細胞が増え、また幼若細胞が成熟細胞に分化できる(分化能あり)ため、
造血幹細胞と幼若細胞と成熟細胞の全てが増殖する病態です。
※異常とは造血幹細胞の遺伝子変異(染色体異常)によって生じた遺伝子変異(染色体異常)を受け継ぐ血液細胞のこと。
幼若細胞は増殖しますが、分化能があり一定数が成熟するので、幼若細胞の増殖は急性白血病に比べて穏やかです。
成熟細胞の増殖が顕著であり、増殖する成熟細胞の種類によって大きく
- 赤血球の増殖→真性赤血球増加症(PV)
- 白血球の増殖→慢性骨髄性白血病(CML)
- 血小板の増殖→本態性血小板血症(ET)
- 線維芽細胞の増殖→原発性骨髄線維症(PMF)
の4つに分けられます。
それぞれで例えると、
となります。
cf. 【鑑別】JAK2遺伝子変異が原因の3疾患の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
全体的に増えるのが骨髄増殖性腫瘍!
異常造血幹細胞も異常成熟細胞も増殖する!
特に成熟細胞の増殖が顕著!
③慢性リンパ性白血病・悪性リンパ腫・成人T細胞白血病/リンパ腫・多発性骨髄腫とは?【CBT国試対策】
慢性リンパ性白血病(CLL)・悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫・非ホジキンリンパ腫(NHL))・成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)・多発性骨髄腫(MM)とは・・・
成熟細胞のみが腫瘍化し増殖する病態です。
造血幹細胞や幼若細胞は正常で成熟細胞のみが増殖する点がポイントです。
それぞれで例えると、
となります。
成熟細胞のみ増えるのがCLL・悪性リンパ腫・ATL・MM!
※追記※
解明されていない病態や複雑な分類がありますが、頭の整理のために上記のように分類しました。
もともとATLは成人T細胞白血病でしたが、近年はリンパ腫が付け加えられ成人T細胞白血病/リンパ腫と名前を変えたり、
リンパ系の腫瘍でも悪性リンパ腫と急性白血病のどちらの経過もみる疾患もあるので、
大まかなイメージがつかめるように分類しました。
【造血器腫瘍まとめ】
AL:分化能のない幼若細胞のみが増殖!
MPN:造血幹細胞・幼若細胞・成熟細胞の全てが増殖!
CLL:成熟細胞のみが増殖!
AML急性骨髄性白血病とMDS骨髄異形成症候群とPMN骨髄増殖性腫瘍の違い
初めの章で骨髄系腫瘍には
- 急性骨髄性白血病(AML)
- 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
- 骨髄異形成症候群(MDS)
の3つが含まれると記述しました。
これらの違いについてまとめます。
「AML急性骨髄性白血病」と「MDS骨髄異形成症候群・PMN骨髄増殖性腫瘍」の違い
結論:AMLは骨髄または末梢血の芽球比率が20%以上であり、MDSやPMNが芽球比率が20%未満
AMLの腫瘍細胞は分化能がないため、分化できず芽球比率が高値(20%以上)に保たれます。
一方で、MDSとPMNは分化能が保たれているため、芽球比率が比較的低値(20%未満)に保たれます。
※WHO分類では20%、FBA分類では30%が基準になっています。
MDS骨髄異形成症候群の特徴【ALとMPNの中間的存在】
MDS骨髄増異形成症候群はALとMPNの中間的な存在で、
一部の幼若細胞の分化能が失われ、骨髄中の幼若細胞(芽球)は増加しますがそれほど活発に増加せず、
また、一部の幼若細胞は分化能がまだあるので、芽球比率は20%未満にとどまります。
「異形成」とは形態や機能の異常のある腫瘍でも正常でもない細胞であり、
その異形成細胞はアポトーシスを起こし無効造血に至るという特徴があります。
cf. 【鑑別】無効造血の原因疾患の覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
ちなみに、MDS骨髄異形成症候群は「白血病の前段階」と呼ばれ、
遺伝子異常が加わることで白血病化しAMLとなることが知られています。
もともと芽球比率が20%未満だったMDSが遺伝子異常が加わり、
分化能が完全に失われ、芽球比率が20%以上になり、末梢血に芽球が見られやすくなります。
AML急性骨髄性白血病とMDS骨髄異形成症候群とPMN骨髄増殖性腫瘍の違いまとめ
骨髄系腫瘍の違い | AML | MDS | PMN |
---|---|---|---|
特徴 | 幼若細胞(芽球)のみ増殖 | 形態と機能が異常な 異形成細胞と無効造血 | 全体的に増殖するが 成熟細胞の増殖が顕著 |
芽球比率 | 20%以上 | 20%未満 | 20%未満 |
分化能 | なし | なし+あり | あり |
形態 | 異常(腫瘍細胞) | 異常(異形成) | ほぼ正常 |
リンパ性白血病と悪性リンパ腫の違い【CBT国試対策】
終わりに
お疲れさまでした。参考になれば幸いです。
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