CBT国家試験的に重要なCD細胞表面マーカーについて教えてほしい。
この記事はCD細胞表面マーカーの重要なポイントである
「正常血球」と「疾患」についてまとめておきます。
【CD分類一覧】
細胞表面マーカーと正常細胞の覚え方・ゴロ【CBT国試対策まとめ】
メモですが参考になれば幸いです。
試験で重要な正常細胞のCD細胞表面マーカー
- T細胞全般:CD2陽性・CD3陽性・CD5陽性・CD7陽性
- ヘルパーT細胞:CD4陽性
- 細胞障害性T細胞(CTL)(キラーT細胞):CD8陽性
- 制御性T細胞(Treg):CD4陽性・CD25陽性
- NK細胞:CD16陽性・CD56陽性
- B細胞:(CD5陽性)・CD10陽性・CD19陽性・CD20陽性・CD21陽性・CD22陽性・CD23陽性
- 造血幹細胞:CD34陽性
- ランゲルハンス細胞(Langerhans細胞):CD1a陽性
「ランゲルハンス細胞(Langerhans細胞):CD1a陽性」
覚え方・ゴロは皮膚科で解説予定です!
【余談】
上記の「試験で重要なCD細胞表面マーカー」に含まれるのは、臨床上でも大切なCD細胞表面マーカーです。
T細胞・NK細胞・B細胞といったリンパ球は造血器腫瘍(特にリンパ系腫瘍)や免疫不全で重要です。
造血幹細胞も造血器腫瘍にて増殖しCD34陽性細胞が異常増殖するため重要です。
CD34は幹細胞移植時にも用いられます。
Langerhans細胞組織球症でCD1a陽性所見も重要です。
補足
造血幹細胞から分化する細胞として、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞の2つがあります。
骨髄系幹細胞はさらに
- 顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)と単球
- 赤血球
- 血小板(巨核球から生じる)
へ分化し、
リンパ系幹細胞は
- リンパ球(T細胞・NK細胞・B細胞)
へ分化します。
顆粒球もリンパ球も同じ白血球なのに発生の仕方が少し違うんだね。
リンパ球(T細胞・NK細胞・B細胞)のCD細胞表面マーカーは
頻出だから覚えておこう。
ついでに、試験であまり見ない顆粒球・単球・赤血球・血小板の
CD細胞表面マーカーもまとめておきます。
その他のCD細胞表面マーカー
- 顆粒球単球系(骨髄系):CD13陽性・CD14陽性・CD15陽性・CD16陽性・CD33陽性
- 顆粒球:CD13陽性・CD33陽性
- 単球/マクロファージ:CD14陽性・CD68陽性
- 赤血球:ヘモグロビンA・グリコホリンA
- 巨核球:CD41陽性・CD42陽性・CD61陽性
特に、急性白血病のFAB分類の鑑別に
- 骨髄系マーカー:CD13陽性・CD33陽性(→FAB分類M0)
- 赤血球系マーカー:ヘモグロビンA・グリコホリンA(→FAB分類M6)
- 巨核球系マーカー:CD41陽性・CD61陽性→(FAB分類M7)
が用いられます。
急性白血病には骨髄性とリンパ性の2種類があります。
骨髄性にはM0からM7まであり基本的にMPO染色(ミエロペルオキシダーゼ染色)で染まります。
しかし、例外があり、その代表例がM0とM7です。
cf. 【急性白血病FAB分類】MPO染色陽性?陰性?鑑別の覚え方・ゴロ【原理と意義】
MPO染色で染まらないとなると、骨髄性かリンパ性かの鑑別が難しくなります。
その時に活躍するのがCD細胞表面マーカーです。
M0は骨髄系の腫瘍なのでCD13・CD14・CD15・CD16・CD33が陽性になり、
M7は骨髄系の中でも巨核球系の腫瘍なのでCD41やCD42やCD61が陽性になり、
逆にリンパ性白血病では上記のCD細胞表面マーカーは陰性(発現量が少ない)となります。
特にCD13・CD33・CD41・CD61が利用されます。
cf. 【MPO染色陰性】骨髄系M0巨核球系M7の細胞表面マーカーの覚え方・ゴロ
【CD分類一覧】
細胞表面マーカーと疾患の覚え方・ゴロ【CBT国試対策まとめ】
疾患と代表的なCD細胞表面マーカーのメモです。
参考になれば幸いです。
覚え方・ゴロは追記していくのでお待ちください。
試験で重要な疾患のCD細胞表面マーカー
- PNH発作性夜間ヘモグロビン尿症:CD55陰性CD59陰性PNH型血球
- AML急性骨髄性白血病FAB分類
M0などの骨髄系腫瘍:CD13陽性・CD33陽性
M7などの巨核球系腫瘍:CD41陽性・CD61陽性
⇔ALL:CD13・CD33・CD41・CD61が陰性 - CLL慢性リンパ性白血病:CD5陽性・CD19陽性・CD20陽性・CD23陽性
- リツキシマブ適応:CD20陽性B細胞腫瘍(B細胞性非ホジキンリンパ種・慢性リンパ性白血病)・血管炎(MPA・GPA)
- ホジキンリンパ腫(Hodgkin細胞・Reed-Sternberg細胞):CD30陽性
- Sezary症候群(Sezary細胞):CD4陽性
- ATL(flower cell):CD3陽性・CD4陽性・CD25陽性
- GIST:CD34陽性
- Langerhans細胞組織球症:CD1a陽性
CD4陽性T細胞に感染するウイルス2種
CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)に感染するウイルスは
- HIV:human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス
- HTLV-1:human T-cell leukemia virus type 1 ヒトT細胞白血病ウイルス1型
の2種が有名です。
HIVとHTLV-1の共通点は逆転写酵素を持つレトロウイルスということです。
【メモ】
HIV感染はAIDSのリスク、HTLV-1はATLのリスクになります。
AIDS:acquired immunodeficiency syndrome 後天性免疫不全症候群
ATL:Adult T-cell leukemia 成人T細胞白血病・リンパ腫
勉強中に気が付いたことや
新たに出題された場合は追加していきます。
【覚え方・ゴロ】CD4/CD8比が上昇・低下する疾患一覧【CBT国試対策】
試験で重要なCD4/CD8比が上昇・低下する疾患一覧
- CD4/CD8比上昇:サルコイドーシス・ATL・農夫肺
- CD4/CD8比低下:夏型過敏性肺炎・AIDS
サルコイドーシスとATLは結構共通点が多いです!
・高カルシウム血症
・CD4/CD8比が上昇
・可溶性IL-2が高値
ちなみに、可溶性IL-2が高値と言えば、特に
ATL・サルコイドーシス・悪性リンパ腫!
覚え方・ゴロは追記していくのでお待ちください。
確認問題:医師国家試験【114D22】解説
医師国家試験【114D22】改題
30歳の男性。貧血の精査のため来院した。昨年の健康診断では異常を指摘されなかったが、2週前から労作時息切れが出現したため自宅近くの診療所を受診したところ、貧血を指摘され精査のため紹介されて受診した。脈拍88/分、整。血圧122/78mmHg。眼瞼結膜は貧血様で眼球結膜に黄染を認めない。血液所見:赤血球302万、Hb 8.3g/dL、Ht 28%、白血球2,400(桿状核好中球3%、分葉核好中球28%、好酸球2%、単球5%、リンパ球62%)、血小板5万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性で、表面マーカー解析ではCD10とCD19が陽性で、CD20とCD33は陰性であった。染色体検査でPhiladelphia染色体が検出された。
考えられる疾患はどれか?
a 急性骨髄性白血病(AML)
b 急性リンパ性白血病(ALL)
c 慢性骨髄性白血病(CML)
d 慢性リンパ性白血病(CLL)
答えは b
ペルオキシダーゼ染色は陰性かつCD33陰性より骨髄系は否定的。
CD20は陰性だが、CD10とCD19が陽性のためB細胞系腫瘍が疑われる。
骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本では顆粒を持たないリンパ系細胞が増殖している。
急性発症で血小板も低下しており、急性リンパ性白血病の可能性が高い。
本症例はPhiladelphia染色体が陽性なのでイマチニブが適応となる。
確認問題:医師国家試験【113D54】解説
医師国家試験【113D54】
57歳の男性。発熱と倦怠感を主訴に来院した。1か月前に右頸部腫瘤に気付いた。2週間前から38℃台の発熱と倦怠感をきたし、軽快しないため受診した。右頸部に径1.5cmのリンパ節を3個触知する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長170cm、体重68kg。体温37.4℃。脈拍100/分、整。血圧132/90mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(room air)。血液所見:赤血球210万、Hb 7.4g/dL、Ht 23%、白血球16,000(異常細胞60%)、血小板5万。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。骨髄細胞の染色体分析では正常男性核型であった。異常細胞のペルオキシダーゼ反応は陰性。表面マーカー解析ではCD19陽性、CD20陰性、CD33陰性、TdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)陽性であった。
診断はどれか。
a 急性骨髄性白血病
b 急性リンパ性白血病
c 慢性骨髄性白血病
d 慢性リンパ性白血病
e 成人T細胞白血病
答えは b
CD20は陰性だがCD19が陽性でCD33も陰性のため、B細胞系腫瘍が疑われる。
骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本では顆粒を持たないリンパ系細胞が増殖している。
MPO染色陰性かつTdT染色陽性であるためリンパ性白血病であり、
急性発症で血小板減少を伴うため急性リンパ性白血病の可能性が高い。
確認問題:医師国家試験【113C47】解説
医師国家試験【113C47】改題
24歳の女性。発熱と頸部腫瘤を主訴に来院した。2か月前から左頸部腫瘤を自覚していた。2週間前に発熱と寝汗が出現し、改善しないため受診した。6か月で7kgの体重減少があった。体温37.8℃。脈拍96/分、整。左頸部、左鎖骨上窩および両側鼠径部に弾性硬、圧痛のない径2~3cmのリンパ節を4個触知する。左頸部リンパ節の生検組織のH-E染色標本を別に示す。免疫染色ではCD30陽性の細胞を認める。
a 急性骨髄性白血病
b 急性リンパ性白血病
c 慢性骨髄性白血病
d 慢性リンパ性白血病
e ホジキンリンパ腫
答え e
ホジキンリンパ腫の異常細胞(Hodgkin細胞やReed-Sternberg細胞)はCD30が強陽性(強く発現している)になる特徴がある。
悪性リンパ腫のB症状「発熱・寝汗・体重減少」、
病理組織標本ではReed-Sternberg細胞よりホジキンリンパ腫の可能性が高い。
終わりに
お疲れさまでした。参考になれば幸いです。
『血液』の範囲の覚え方×ゴロ×イラストをまとめました!
↓↓↓下のボタンから記事一覧を参照してください↓↓↓
分からない事・疑問点・質問がありましたら、お問い合わせ or SNS(下記)にどうぞ。
誤字脱字・新しい情報・覚え方の提案も、共有させて頂けると幸いです。
「ゴロゴロ医学」では覚え方・ゴロ・まとめを紹介しています。
覚えることを最小限に抑え、コスパ良い勉強をサポートします。
不定期の更新になりますので、
【 公式Twitter 】 または 【 公式Instagram 】 のフォローをお願いします 。
公式Twitterはこちら↓↓↓
公式Instagramはこちら↓↓↓