ヘパリンの薬効モニタリングがPT(PT-INR)ではなく、
APTTで管理される理由・機序を教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
今回は理由と機序を解説します。
覚え方・ゴロは別記事を参照してください↓↓↓
なぜヘパリンはPT(PT-INR)ではなくAPTT?APTT延長の理由と機序
結論:ヘパリンはアンチトロンビン(AT)と複合体を形成し、
作用が促進されたアンチトロンビンは
外因系より内因系と共通系を優位に阻害するため、
PT(PT-INR)よりAPTTが優位に延長するから。
ヘパリンはアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)と複合体を形成し、アンチトロンビンの立体構造を変え、
アンチトロンビンと凝固因子の親和性が高まる(=結合しやすくなる)ことで抗凝固作用を示します。
アンチトロンビンが阻害する凝固因子は名前からしてトロンビン(Ⅱa)を阻害しそうですが、Ⅱa以外も阻害します。
アンチトロンビンが阻害する凝固因子
- 2:Ⅱa(トロンビン)
- 7:ⅤⅡa
- 9:ⅠⅩa
- 10:Ⅹa
- 11:ⅩⅠa
- 12:ⅩⅡa
ただし、7:ⅤⅡaと11:ⅠⅩaの阻害効率は悪いことが知られています。
これらを内因系・外因系・共通系に分け、阻害効率が悪い凝固因子を()でくくると、
アンチトロンビンが優位に阻害する凝固因子は
- 内因系:(ⅠⅩa)とⅩⅠaとⅩⅡa
- 外因系:(ⅤⅡa)
- 共通系:ⅡaとⅩa
となります。
つまり、内因系と外因系を比べると、内因系を優位に阻害していると分かります。
内因系:(ⅠⅩa)とⅩⅠaとⅩⅡa >>> 外因系:(ⅤⅡa)
内因系を優位に阻害していますね!
このときPT(PT-INR)とAPTTはどうなるでしょうか?
確かに共通系が障害されるため、PT(PT-INR)とAPTTがともに延長しますが、
内因系を優位に阻害するため、PT(PT-INR)よりAPTTの方が優位に延長します。
まとめると、ヘパリンはアンチトロンビンを介して外因系より内因系と共通系を優位に阻害し、
外因系を反映するPT(PT-INR)より内因系を反映するAPTTの方が優位に延長するため、
ヘパリンの薬効モニタリングにはPT(PT-INR)ではなくAPTTを用います。
理由・機序を理解した上で
覚え方・ゴロをチェックすると知識が身につきます。
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終わりに
【二次止血】凝固関連の知識の覚え方・ゴロを総まとめしました!
体系的に知らないと差がつくポイントを覚えましょう!
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お疲れさまでした。
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