なぜ腫瘍崩壊症候群で低カルシウム血症-高リン血症?
機序と覚え方・ゴロを教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
腫瘍崩壊症候群で
- 高リン血症
- 高カリウム血症
- 高尿酸血症
- 乳酸アシドーシス
- 低カルシウム血症
- 急性腎不全
が起こる機序を分かりやすく解説し、CBT国家試験で役立つtipsも合わせて紹介します。
ゴロでサクッと覚えちゃおう!
なぜ腫瘍崩壊症候群で高カリウム血症-高リン血症-乳酸アシドーシス?【機序-原因】
結論:腫瘍細胞や正常細胞の崩壊に伴い、細胞質由来のカリウム・リン・乳酸が細胞外へ漏出するから。
一般に、細胞外に比べて、細胞内(細胞質)にはカリウム(K)やリン(HPO42-)が多いです。
細胞内カリウムイオン濃度135mmol/L > 細胞外カリウムイオン濃度5mmol/L
細胞内リン酸イオン濃度35mmol > 細胞外リン酸イオン濃度1mmol
また、腫瘍崩壊症候群で生じる腫瘍細胞のアポトーシスでは、
一過性に嫌気性代謝が亢進し、細胞内で乳酸生産が増加すると考えられています。
こういった背景下で、化学療法によって腫瘍細胞や正常細胞が崩壊するため、
細胞内に多いカリウム・リン・乳酸が漏出し、高カリウム血症・高リン血症・乳酸アシドーシスが生じます。
なぜ腫瘍崩壊症候群で高尿酸血症?【機序-原因】
結論:腫瘍細胞や正常細胞の崩壊に伴い、核酸由来の尿酸が細胞外へ漏出するから。
ヒトの細胞はほぼ有核細胞であり、細胞内に核酸が豊富に存在します。(cf. 赤血球・血小板は無核)
したがって、化学療法によって腫瘍細胞や正常細胞が崩壊し、
細胞外へ放出された核酸が代謝され、尿酸に変換されることで、高尿酸血症となります。
なぜ腫瘍崩壊症候群で低カルシウム血症?【機序-原因】
結論:高リン血症に伴い、リン酸カルシウムが析出し、カルシウムが消費されるから。
高リン血症ではリン酸カルシウムの溶解度積が上昇し、
溶けきれなくなったリンはカルシウムと共に析出し、リン酸カルシウムが形成されます。
cf. なぜ副甲状腺機能低下症で脳内石灰化・白内障?機序・覚え方・ゴロ
リンとカルシウムはセットで溶解度積のレベルまで消費されるため、
高リン血症は持続し、カルシウムは消費され低カルシウム血症になります。
Capの法則は役に立つので要チェック!
なぜ腫瘍崩壊症候群で急性腎不全?【機序-原因】
結論:析出した尿酸結晶やリン酸カルシウム塩によって尿細管が閉塞するから。
高尿酸血症と高リン血症によって、尿酸結晶やリン酸カルシウム塩が尿細管内で析出し、
尿細管閉塞が起こることで急性腎不全になります。
【腫瘍崩壊症候群まとめ】
化学療法開始後
- 6時間以内:細胞内細胞外濃度差が一番大きいカリウムが漏出し高カリウム血症
- 24~48時間後:リン・乳酸・尿酸・カルシウムが変動
- その後:クレアチニン上昇(急性腎不全)
ちなみに、CBT国家試験では腫瘍崩壊症候群に関連するマグネシウムについて言及されたことはありませんが、
細胞内にはカリウム・リンの他にマグネシウムが豊富にあります。
したがって、腫瘍崩壊症候群でも細胞の崩壊に伴いマグネシウムの変動は考えられます。
細胞内にマグネシウムが多いので、溶血によってもマグネシウムが血中で高値となってしまう場合もあります。
cf. 血管内溶血と血管外溶血の違い-共通点【鑑別の特徴-覚え方-ゴロまとめ】
※溶血:赤血球は無核なので尿酸は増加せず、嫌気性代謝も亢進していないので乳酸も増加せず、
典型的にはK・P・Mgが高値となります。
これらはまとめで覚えてしまいましょう!
腫瘍崩壊症候群でリン血症-高カリウム血症-乳酸アシドーシス-高尿酸血症?
覚え方・ゴロ【CBT国試対策】
ゴロ:マジピンク(pink)
マジ→Mg→高マグネシウム血症
P→高リン血症
N→nyu/nyo→乳酸アシドーシス・高尿酸血症
K→高カリウム血症
以上より、腫瘍崩壊症候群では
- 高マグネシウム血症
- 高リン血症
- 乳酸アシドーシス
- 高尿酸血症
- 高カリウム血症
と分かります。
また、『Capの法則』より、低カルシウム血症が導けます。
終わりに
お疲れさまでした。参考になれば幸いです。
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