遺伝性球状赤血球症HSの特徴-遺伝形式-合併症の
覚え方・ゴロを教えてほしい。
こういった悩みを解決します。
本記事ではCBT・医師国家試験でポイントとなる遺伝性球状赤血球症の特徴の覚え方・ゴロをまとめていきます。
知っているだけで得する情報をまとめます!
ゴロでサクッと覚えちゃおう!
遺伝性球状赤血球症は英語で「hereditary spherocytosis:HS」
遺伝性球状赤血球症HSの遺伝形式は常染色体優性AD【覚え方・ゴロ】
覚え方:『「遺伝性」or「家族性」とつく疾患は基本的に常染色体優性AD』
⇔『遺伝性地中海熱は例外で常染色体劣性AR』
疾患名に「遺伝性」または「家族性」と名がついているのは、
家族内に同じ疾患に罹患する人が多く、古くから遺伝性が疑われてきた疾患たちです。
遺伝性○○〇の遺伝形式はどれか?家族性○○〇の遺伝形式はどれか?という問題をあったら、
遺伝性・家族性の名前がついている意味を考え導きましょう。
昔の人が「この疾患は原因はよくわからないけど、
家族内で多発するから遺伝なのかな?
遺伝性or家族性と名付けよう!」
って考えた分けだね!
のちに、上記の疾患たちは常染色体優性ADと分かるわけだけど、
昔の人がミスっちゃったのが遺伝性地中海熱と考えよう(笑)
「遺伝性」または「家族性」とつく疾患の遺伝形式を比較してみると、
- 遺伝性球状赤血球症→常染色体優性AD
- 遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Lynch症候群)→常染色体優性AD
- 遺伝性出血性末梢血管拡張症(Osler-Weber-Rendu病)→常染色体優性AD
- 家族性腺腫性ポリポーシスFAP→常染色体優性AD
- 家族性高コレステロール血症FH→常染色体優性AD
- 家族性アミロイドポリニューロパチー→常染色体優性AD
- 遺伝性地中海熱→常染色体劣性AR★例外★
となります。
上記のように一回まとめておくだけで、
かなり役に立つはずです。(実体験)
遺伝形式についてはコチラ↓↓↓
遺伝性球状赤血球症HSの原因とは?なぜ血管外溶血?【覚え方・ゴロ】
覚え方:遺伝性「球状」赤血球症はその名の通り、球状に変形した赤血球が脾臓のフィルターに詰まるため血管外(脾)で溶血します。
さらに、球状に変形した理由は赤血球膜蛋白(細胞骨格)の欠損と考えます。
遺伝性球状赤血球症の原因は赤血球膜蛋白の欠損です。
※細胞骨格であるαスペクトリン・βスペクトリン・アンキリン・バンド3・4.2蛋白といった蛋白の欠損
赤血球膜蛋白?赤血球膜脂質?
引っかからないように注意!
赤血球膜蛋白が欠損することにより、『球状に変形+膜透過性の亢進』が生じます。
球状に変形すると、脾臓のフィルターにトラップされ血管外溶血をきたします。
血液疾患は血管内溶血か?血管外溶血か?無効造血か?を区別して覚えましょう。
ビリルビン胆石は血管内溶血と血管外溶血に共通して起こり得ますが、
脾腫は血管内溶血より血管外溶血の方が高度で、
『幼少期(→遺伝性)からのビリルビン胆石+高度な脾腫』では血管外溶血の遺伝性球状赤血球症の可能性が高くなります。
遺伝性球状赤血球症HSは高色素性貧血か?正色素性貧血か?【CBT国試対策】
結論:遺伝性球状赤血球症HSは知識問題では正球性高色素性貧血と覚えましょう。
※ただし臨床問題では当てはまらないこともある
遺伝性球状赤血球症では赤血球が球状に変形し、球状赤血球spherocyteが見られます。
さらに、球状赤血球は直径が小さく小型球状赤血球microspherocyteとも呼ばれる場合があります。
この場合、小型、つまり体積が濃縮されているため、ヘモグロビン濃度は上昇します。
典型的には検査上で、平均赤血球ヘモグロビン濃度MCHCは高値(35以上)になります(※下記解説)。
したがって、定義上は高色素性貧血に分類されます。
医師国家試験【101F40】でも、 『遺伝性球状赤血球症は正色素性貧血?→×』となっているので、
遺伝性球状赤血球症は正球性高色素性貧血と覚えましょう。
一部の参考書では正色素性貧血と記載されていますが、無視しましょう。
しかしながら、遺伝性球状赤血球症の臨床問題では正色素性貧血の患者がいます。
その場合は経過(遺伝性疾患のため幼少期から胆石症や脾腫があるか?)に注目して解答する必要があるので、
「正色素性→遺伝性球状赤血球症ではない」と言い切れないので注意しましょう。
平均赤血球ヘモグロビン濃度MCHCとは?
平均赤血球ヘモグロビン濃度MCHC:Mean Corpuscular Hemoglobin Concentration
MCHCとは赤血球の単位体積(Ht)あたりに含まれるヘモグロビン濃度(Hb)です。
- MCHC=(Hb/Ht)×100
計算例)健常人:Hb15g/dl Ht45%の場合 MCHC=15÷45×100≒33.3
基準は参考書によって微細な変化がありますが、覚えやすくキリの良い数字では
- 30未満:低色素性
- 30以上35未満:正色素性
- 35以上:高色素性
となります。
遺伝性球状赤血球症は正色素性~高色素性になり得ますが、
高色素性の場合は遺伝性球状赤血球症の可能性が高いです。
赤血球浸透圧抵抗試験とは?方法と意義(鑑別疾患)【CBT国試対策】
赤血球浸透圧抵抗試験とは低張食塩水に対する赤血球の抵抗性(脆弱性)を見る試験で、
様々な高張(1%)~低張(0%)の食塩水に赤血球を適下し、どの濃度で溶血するかを正常赤血球と比べます。
生理食塩水は0.9%なので、0.9%以下では浸透圧の差によって、水が赤血球内に流れ込み赤血球が壊れます(溶血)。
正常の赤血球は円盤状であり、変形する余地があるため、0.5%でも溶血は起こりにくいです。
しかし、遺伝性球状赤血球症ではすでに球状であり、水を取り込める余地がないため0.5%でも溶血が生じます。
このように、通常より溶血しやすい場合を赤血球浸透圧抵抗性減弱(脆弱性亢進)と言います。
【赤血球浸透圧抵抗試験】
赤血球浸透圧抵抗性増強(脆弱性低下):鉄欠乏性貧血・サラセミアなど
赤血球浸透圧抵抗性減弱(脆弱性亢進):遺伝性球状赤血球症・遺伝性楕円赤血球症・遺伝性有口赤血球症など
自己溶血試験とは?方法と意義【CBT国試対策】
自己溶血試験とは血清に赤血球を入れ2日間放置し、溶血するかどうかを観察する試験です。
通常の赤血球では、血清中のグルコースを消費してATPを合成し、
ATPによってNa+-K+ATPaseが細胞外へNaを輸送するため、
細胞内のNaは過剰にならず溶血しません(自己溶血試験陰性)。
しかし、遺伝性球状赤血球症では、赤血球膜蛋白が欠損することにより、『膜透過性の亢進』が生じるので、
通常より多くのNaが細胞内に流入し、グルコース(ATP)を過剰に消費し、
間に合わなくなると細胞内のNaが過剰になり溶血します(自己溶血試験陽性)。
遺伝性球状赤血球症HSにパルボウイルスB19感染(伝染性紅斑)で
急性赤芽球癆を合併(無形成発作)の覚え方・ゴロ
覚え方:『「きゅう」関連』and『「赤」関連』
『「きゅう」関連』
遺伝性「球」状赤血「球」症+パルボウイルスB1「9」→「急」性赤芽「球」癆
『「赤」関連』
遺伝性球状「赤」血球症+伝染性「紅」斑→急性「赤」芽球癆
パルボウイルスB19感染≒伝染性紅斑
赤≒紅
っていうことね!
以上より、遺伝性球状赤血球症HSの合併症は
- パルボウイルスB19感染(伝染性紅斑)で急性赤芽球癆(無形性発作)
と分かります。
- 伝染性紅斑は英語で「erythema infectiosum」
- 赤芽球癆は英語で「pure red cell aplasia:PRCA」
【押さえておきたいパルボウイルスB19の特徴】
- 伝染性紅斑の原因ウイルス。
- 妊婦が感染した場合、経胎盤感染で胎児水腫をきたす。
- 成人が完成した場合、SLE様の症状を呈したり、SLEを発症し得る。(112A46)
- 赤血球系に感染するため、赤芽球系前駆細胞を障害し赤芽球癆の原因になり得る。
特に、遺伝性球状赤血球症やサラセミアといった背景では重症の「急性赤芽球癆」として発症しやすい。 - 巣状分節性糸球体硬化症FSGSの原因になり得る。
終わりに
お疲れさまでした。
参考になれば幸いです。
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